「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害のある子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出合った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。
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4月になりました。この春、ご入園・ご入学を迎えられた皆さま、おめでとうございます。障害のある子どもを育てるご家族はきっと、子どもが生まれた時から何度も何度もドキドキ・ハラハラを繰り返し、希望を持ったり涙したりしながら子どもの成長を見守り、入園や入学の日を迎えるのだと思います。「やっとここまで大きくなった」と思うと喜びも増しますね。今回は就園・就学について書いてみようと思います。
私が運営しているNPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)は、いくつかあるワークショップの中でも特に就園・就学相談に力を入れています。私自身が就園・就学の大きな壁に当たったことがきっかけでソーシャルワーカーになったという背景もありますが、実際、保護者ニーズもとても高い分野です。
私が足の不自由な息子の幼稚園探しをしていた頃から15年近く経ちますが、相談内容は当時からほぼ変わっていません。
ただ、息子が通った園や学校も含め、障害のある子どもを受け入れた後は劇的に良い方向に進む幼稚園や小学校が多いことも事実です。毎年この時期になると「どうすれば障害のある子どもの特性を、現場の多くの先生方に知ってもらう機会が増えるのだろう」と深く考えています。
入学式で2度転んでも
息子が小学校に入学した日のことです。この学校では入学式に1年生と6年生がペアになり入場するのですが、本人の希望でこの日は装具ではなく通常の上履きを履いたため、ステージにたどり着くまでに2回も転んでしまうというハプニングがありました。入場時に息子のクラスの列が途切れたのを見て嫌な予感がしましたが、やはり、息子が体育館に入場するために歩き出したところ、うまく歩けずに転んでしまい、前のお子さんと距離ができてしまったことが原因でした。それでも、ペアになった6年生の男の子が、サッとしゃがんで抱き上げ、息子の目の位置まで頭を下げて言葉をかけてくれたり、上履きが脱げそうになると脱げる直前に直してくれたりして何とか無事に入学式に出席することができました。おそらく周りの保護者も、息子の歩き方で足が不自由なことを分かってもらえたのだと思います。皆さんとても温かく接してくださり、安心したのを覚えています。