松田聖子

「お医者さんのお嫁さんになる」

 実際、高校進学についても、地元のカトリック系名門校・久留米信愛女学院を志望。教師から「まず無理やろ」と言われながら、猛勉強に励んだ。直前には風邪だとウソをついて学校を1週間休み、受験対策に専念して合格にこぎつけたという。

 恋愛に関しても、小5のときにひと目ぼれした男子にアタックを続け、高校時代にようやくデートするという粘り強さを発揮。その男子が「痩せた女は嫌い」だと知ると、ひたすら食べて5キロ太るといった涙ぐましさも見せた。

 また、芸能人では郷ひろみや原田真二に憧れ、のちに郷とは結婚目前まで行ったし、原田とは不倫騒動も起こした。さらに、幼少期には「お医者さんのお嫁さんになる」という夢も。二度目と三度目の結婚相手が歯科医だったのは、偶然ではないだろう。

 そんな聖子が何より「すさまじい努力」をしてつかんだのが歌手としての成功だ。

 高1の春、テイチクレコードの新人オーディションを受け、二次予選で落選。その夏にはホリプロタレントスカウトキャラバンの九州大会に応募したが、書類審査で落選してしまう。しかし、友人が合格したことからデュオで出場して、最終5組まで残ることができた。

 そして、高2の春、CBS・ソニーと集英社が主催するミス・セブンティーンの九州大会に出場して、ついに優勝。ただ、それを知った父親の逆鱗(げきりん)に触れることになる。

「芸能界なんちゅう、あげな汚か世界に、大切なお前を入れることができるか。新人歌手のおなごの子なんか、すぐ男にだまされてしまうたい」

 という厳しい言葉と平手打ちまで浴びたうえ、高校からも全国大会に出場するなら退学と言われたため、泣く泣く辞退することにした。

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父親は「もう電話してくるな!」