中嶋涼子さん

どんな言葉より傷ついたのは…

 中嶋さんは16日、こんな投稿をリポストしている。

「マジでキショい 健常者の労働者階級に寄生ばっかしやがってさ。家に引きこもってろ」

 目を覆いたくなるようなコメントをあえて拡散した理由について、中嶋さんはこう話す。

「9歳で歩けなくなった当時、外出先で『障害者は家にいればいいんだよ』って言われたことがあって。すごく悔しくて一生忘れない言葉なんですけど、今でも同じことを言う人がいる現実を提示したいと思いました」

 だが中嶋さんにとって、どんな辛辣(しんらつ)な言葉よりも傷ついたのが、同じ車椅子ユーザーからの攻撃だった。仲がいいと思っていた友人まで、「私だったら介助を頼まない」「調子に乗っている」「炎上して当然」などと発信しているのを見て、人間不信に陥りかけたという。

「『お前のせいで外に出にくくなった』『障害者と健常者の間の壁を余計に作った』という批判もあって、なるべく社会の中で目立たないように暮らしている人もいるんだなと。でも、私が声をあげたからと言って、障害者全員が“クレーマー”みたいに見られるのはおかしい。障害者だけど違う考えの人も、健常者だけど同じ考えの人もいて、一人ひとり違うのに、障害の有無でひとくくりにされる世の中は悲しいです」

 精神的につらくなり、数日間SNSを見られなくなったが、「炎上に加担しているのは一握りの人」と気持ちを切り替えた。

 そして、中嶋さんは行動を起こす。イオンシネマに電話をして、騒動を招いたことを謝りつつ、映画館でのバリアフリーのあり方について話し合いたいと提案したのだ。

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映画館との話し合いの結果…