東京大学に現役合格をした人は、高校時代をどう過ごしたのか。都立西高校から東大理科I類に合格を果たした生徒に聞いた。AERA 2024年4月1日号より。
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一般入試で難関国公立大学に合格した子はどのような道をたどってきたのか。
東京都中野区在住の小林聖晴さんは都立西高校からこの春、東大理科I類に現役合格を果たした。東大を意識したのは高校1年生の頃。大学を目指すならトップをと、夏休みには大手進学塾、東進ハイスクールの門をたたいた。
一貫校の進度を意識
コロナ禍でオープンキャンパスなどには行けず、東大生がYouTubeに上げている学校紹介動画で大学の雰囲気をつかんだ。
勉強は帰宅後に学年プラス1時間を目標に、高校1年生から毎日取り組むようにした。
「学年プラス1時間はよく言われることですが、きちんとできている人は少ないように思います」(小林さん)
意識したのは中高一貫校に通う生徒の学習進度だった。東大の合格実績を2桁出すような一貫校に通う生徒は高校入試がないため学習が受験で足止めされることなく進む。そのため、高校2年生の段階で高校の学習範囲を終える学校が多い。これに比べると公立高校は3年生までかかって高校の範囲を学ぶ。
「塾の映像授業で先取り学習するように意識していました。学校の同級生の中には最後にすごい集中して合格を手にする人もいましたが、僕はそういうタイプではないなと思って、高校1年生からコツコツ頑張る道を選びました」(同)
高校3年の休みの日には10時間ほど勉強。趣味のエレキギターは封印せずに、気晴らしに好きなBUMP OF CHICKENの曲を弾いていた。英語のリスニングに苦戦したというものの、英検は準1級を出願までに取得、併願は早稲田大学と慶應義塾大学の2校に絞った。
合格判定は模試によってばらつきがあり、東大はA、B、Cと違う評価が出ることもあった。高3の夏の模試もB、C判定をさまよったが、入試前最後の判定模試ではA判定を出すことができた。
共通テスト当日、得意の数学に手応えがなく、焦りを感じた。立ち直れたのは、「私立大学の合格を手にできたから」だという。
「とりあえず、大学生にはなれるなという安心感がありました」(同)
共通テストの得点は9割を獲得していて、2次試験も無事に通り、東大への切符を手にした。(フリーランス記者・宮本さおり、ライター・大楽眞衣子)
※AERA 2024年4月1日号より抜粋