※写真はイメージです(Getty Images)

企業の存続に欠かせないキャッシュ・フロー。しかし、経営者や会計の専門家でなければ、なぜ重要視されているのか、ぼんやりした理解のまま働いている人も多いのではないか。その必要性を、米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBAを取得し、経営コンサルタントとして活躍する國貞克則氏の新著『財務3表一体理解法 「管理会計」編』(朝日新書)より一部を抜粋、再編集して紹介する。

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キャッシュフロー・マネジメントとは何か

 キャッシュフロー・マネジメントとはその言葉のとおり、企業を存続させていくためにどうにかうまくキャッシュ(現金)を活かしていくということです。具体的には営業キャッシュフロー・投資キャッシュフロー・財務キャッシュフローのそれぞれのキャッシュフローと、これら3つのキャッシュフローの全体をマネジメントしていくことです。

 では、キャッシュフロー・マネジメントの内容を一つひとつ説明していきましょう。

キャッシュフロー計算書

 CSの一番上の営業キャッシュフローのマネジメントとは、営業活動によって入ってくる現金を増やすことです。それは、営業収入を増やし、商品の仕入支出や人件費支出などの支出を減らすことです。そのことは基本的には利益を増やすこととほぼ同じです。

 ただし、営業キャッシュフローを増やすことと利益を増やすことにはいくつかの違いがあります。

 投資キャッシュフローのマネジメントとは、適切な投資対象に適切なタイミングでキャッシュを使っていくことです。事業とは【お金を集める】→【投資する】→【利益をあげる】という3つの活動が基本です。その中でも投資は極めて重要な活動です。何に投資するかが事業の成否を分けることになります。

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國貞克則

國貞克則

1961年岡山県生まれ。東北大学機械工学科卒業後、神戸製鋼所入社。海外プラント建設事業部、人事部、鉄鋼海外事業企画部、建設機械事業部などで業務に従事。1996年米国クレアモント大学ピーター・ドラッカー経営大学院でMBA取得。2001年ボナ・ヴィータ コーポレーションを設立。日経ビジネススクールなどで公開セミナーやeラーニングの講座を担当している。著書に『新版 財務3表一体理解法』『新版 財務3表図解分析法』(ともに朝日新書)、『渋沢栄一とドラッカー 未来創造の方法論』(KADOKAWA)、訳書に『財務マネジメントの基本と原則』(東洋経済新報社)などがある。

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