撮影/松岡かすみ

シニアこそデジタルを

 前向きに語るMimiさんだが、老後が不安な時期もあった。一人っ子で独身、父は若い頃に他界し、一昨年、長年ともに暮らした母を看取った。子どもはおらず、「女として生まれたのに、やるべきことをやれなかったという欠落感を常に抱えてきた」と話す。だが、一昨年93歳で亡くなった母の看取りを経て、「日々の小さな積み重ねこそが幸せなんだ」と思えるようになった。

「自然に老いて、やがて枯れていく姿を母が見せてくれたおかげで、この先の心構えができた。それは母が私に残してくれた最大の遺産だと思っています」

撮影/松岡かすみ

 一人暮らしの備えはしっかりと。「これからはお金にも働いてもらわねば」と30代から株や投資を始めた。今は年齢とリスクを考えて新規購入は控えているが、定期的に証券会社に通って話を聞く。ジムにも通い、心拍数や運動強度を測れるスマートウォッチもフル活用。転倒検知機能がついたモデルを選べば、何かがあった時、離れた場所にいる相手に時計から緊急通知を送ることもできる。

「デジタルは、年をとった人ほど使った方がいい。不便さも不安も解消してくれるし、健康管理も担ってくれますから」

 これからやってみたいのは、ドローン操縦。もちろん、YouTubeもできる限り続けると決めているが、まだまだ新しいことに挑戦するつもりだ。

「昔行ったパリももう一回行きたいな。あ、パリからライブ配信なんかも楽しそうじゃない?」

(フリーランス記者・松岡かすみ)

AERA 2024年3月25日号より抜粋

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?