脅迫事件は、笠置さんに実際に起こったことだそうだ。背景に「格差」があるような描き方だったのは事実に基づいてのことか、昨今の社会情勢を意識してのことか。そこはわからないけれど、事件が最後に愛子の心情を教えてくれた。
友だちがいなくて、学校も嫌いな愛子がある日、みすぼらしいなりをした「はじめ君」と友だちになる。彼も誕生パーティーの参加者で、仕事のない父が犯行を思い立つ――。そう知ったスズ子が高橋刑事に頼み、はじめ君を家に連れてきてもらう。帰り際にはじめ君がこう言う。「おばさんさ、有名人の子ってのも、なかなかつらいもんらしいぜ。からかわれるしさ、おばさんが忙しいから寂しいみたいだ」
そっかー、からかわれていたのかー。となると、あの誕生日パーティーもうっすら笑われている感じ? それはつらいだろうし、母親を嫌いにもなるだろうなー。と、だいぶ理解できたけれど、もう少し先に知っておきたかったぞ、と思う。
で、そこからも「あるある」なのだが、愛子とスズ子の関係は一気に良好になる。思春期だった「あさが来た」や「べっぴんさん」では「母の偉大さ」を実感→和解となったが、8歳の「ブギウギ」はもう少し可愛らしい感じだった。
家政婦&マネージャー&スズ子&愛子の夕飯の場面。この4人が擬似的ながら家族なのだと思わせる。愛子は優しいええ子なのに、マミーは先回りし過ぎていた。そんな趣旨の話を愛子にし、「愛子、大好きやで」と言うスズ子。「私もマミーが好き」と言う愛子に、「マミーもええ子やろ?」とスズ子が促す。「うん、たまに悪い子やけど」と愛子。一同、笑って大団円。
よい場面とはわかりつつ、お約束感が強くて「ふーん」となってしまう。あと2週の「ブギウギ」が、「ふーん」じゃない展開になりますように。心でそっと、祈っている。