「おもしろおかしくがモットー」という学校の方針を掲げる西京の岩佐峰之校長(左)と第三学年の田中英歳主任(撮影/編集部・福井しほ)
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 京都大に例年、多くの合格者を送り出す京都市立西京高校。今年は京大に50人が合格(41人が現役)。うち、「特色入試」でも同大最多となる8人が合格した。その最大の強みは、「面白がる」精神だ。AERA 2024年3月18日号から。

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「どうしたん、入っておいで!」

 校長の岩佐峰之さんが廊下に向かってそう呼びかけると、4人の中3生が遠慮がちに校長室へと入ってきた。学年集会でサプライズをしたいと相談にきたという。

「来客がないときは、校長室のドアを開けていることも多いんです。生徒たちもよく話しにきますよ」

 廊下に広がるテーブルでは、試験を控えた生徒たちが集まって勉強をしている。無造作に置かれたホワイトボードには、「朝、食パンをくわえた高校生とぶつかる確率」の計算式を書いた紙が貼られ、付箋で「なんでこの数値?」のツッコミも。校舎のいたるところに、「学び」のかけらがあった。

ホワイトボードに書かれた「朝、食パンをくわえた高校生とぶつかる確率」に、付箋でツッコミが入る(撮影/編集部・福井しほ)

 京都公立御三家の一つとして知られる西京は、例年多くの京大生が輩出する。2023年には42人、22年に28人、21年に39人と今や押しも押されもせぬ名門校の一つ。だが、以前から大学受験に「強い」わけではなかった。

 同校が創立したのは1886年。商業高校として多くの子どもたちを育ててきたが、2003年に現在の校名に変更。府立高校があるなかで、市立の役割を考えたとき、「単なる進学校ではいけない」という考えから、「エンタープライジング科」を創設。翌04年には併設型の中高一貫校となった。1999年に探究科をつくった同じ京都市立・堀川高校の「続編」として、西京が生まれたという。

 探究を軸に急成長した2校だが、西京は「おもしろおかしく」がモットーだと岩佐さん。

「エンタープライジング科を立ち上げたときの学術顧問が堀場製作所の堀場雅夫さんで、よく『学校は元気で明るくて、面白いところじゃないとあかん』『そうじゃないといい学びはできへん』とおっしゃった。それが根付いています」

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