『コンフェッションズ・ツアー・ライヴ CD+DVD』マドンナ
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『コンフェッションズ・ツアー・ライヴ CD+DVD』マドンナ
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『スティッキー&スウィート・ツアー Blu-ray』マドンナ
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『スティッキー&スウィート・ツアー Blu-ray』マドンナ
『MDNAワールド・ツアー Blu-ray』マドンナ
『MDNAワールド・ツアー Blu-ray』マドンナ

 正直な心でもって話をするなら、わたしが今、一番ライヴを見たいアーティストといえば、マドンナなんです。
 実はわたくし、まだ生のマドンナ、見ていないんです。今年、来日するのを知って、先行販売に申し込んでみたのだけれど、あっという間に予定枚数が終了してしまった。第2次受付もあるというので、1週間後にトライしてみたが、こちらも数分で終了。2万円のチケットが売り切れなら、1枚5万円でもしかたがないかと決心してトライしたが、こちらも終了。あらら~。
 気がついてみれば、この文章、ですます調で始まってしまっているではないか。どうも、動揺しているようだ。

 1990年のローリング・ストーンズの初来日のときに、チケットを買えなかったおじさんが、「ストーンズのLPのタイトルを全部言えるやつから先に販売しろよ~!」と叫んでいたのを思い出した。長年、聴き続けてきた熱烈なファンを優先しろということらしい。そのおじさんの隣で、「あたし、ストーンズの曲なんて1曲も知らな~い」と言って笑ってる女の子が、自慢げにチケットを見せていたっけ。
 でも、これも正直に言ってしまうと、わたし、マドンナのアルバムのタイトル全部言えないなあ~。

 でも、販売されているライヴ映像は、ほとんど全部観ていると思う。最近のマドンナのライヴ映像は、音声はマルチ・サラウンドで、四方から音が迫ってくるし、映像もきれいだから、大型TV、サラウンド・システムで観ると、サイコーなんだよね。あ~、ほんもの、観たいなあ~。

 ずっと以前、ポール・マッカートニーの来日のときも、チケットが売り切れだといわれていたのに、公演の数日前にダメ元でチケット屋さんに聞いてみたら、1枚だけならあると言われて、その場で買ったことがある。ドームの一番後ろの席だったけど。だから、まだ諦めてはいない。

 これを機会に、久しぶりに手元にあるマドンナのライヴ映像を観てみた。まずは来日公演。
 1987年東京、後楽園球場でのライヴ『フーズ・ザット・ガール』、90年横浜スタジアムでのライヴ『ブロンド・アンビション』、93年福岡ドームでのライヴ『ガーリー・ショー』だ。
 1987年の来日では、東京公演の初日、6月20日のライヴが、雨天のために中止になっている。けっこう大きなニュースになったことを覚えている。
 87年の映像では、まだ20代のマドンナを見ることができる。可愛いけれど野心丸出しで、やれることならなんでもやるわ!と言っているように感じたものだ。

 そして、わたしがマドンナを本当にすごいな、と思ったのは、2006年の『コンフェッションズ・ツアー・ライヴ』だ。
 わたしはこのライヴをテレビ放送で見たのだが、あまりの素晴らしさに、からだが固まってしまったほどだ。90年代のライヴと見比べると、そのステージの内容の成長ぶりは著しい。しかし、マドンナの主張は、あまり変わっていないようにも思える。
 マドンナについて書かれたものの中で、ロッキンオンの小野島大さんの文章が素晴らしいので紹介したい。(http://ro69.jp/feat/madonna_201503

 以下引用――

 誤解を恐れずに言えば、マドンナは歌だけで聴き手をねじ伏せるようなタイプのヴォーカリストではない。その出自であるダンス・パフォーマンス。衣装、メイク、MVやステージセットなどのヴィジュアル。巧みなイメージ戦略とキャラクター作り。アメリカのショウビジネスの伝統の土壌。話題を絶やさない不断の努力。セックス、宗教、フェミニズムなどあらゆるタブーや規範を剥ぎ取り打ち壊して人間の本質に迫ろうとする姿勢など、さまざまな要素がマドンナを形作っている。いわば彼女という存在がアメリカのポップ・カルチャーそのものなのだ。(文=小野島大)

 最後に、マドンナは92年に、5枚目のアルバム『エロティカ』の販売にあわせて、スティーブン・マイゼルによって撮影された『SEX』というタイトルの写真集を発売している。日本でも修正版が発売され話題になったので、持っている方も多いだろう。
 しかし、わたしはデビュー前のマドンナが、お金もなく、ヌード・モデルをしていたころの写真を紹介したい。
 撮影した写真家は、リー・フリードランダー。1934年生まれのアメリカの写真家だ。コンテンポラリー写真を代表する重要な写真家だ。
 
 音楽関係の作品をいくつかあげるならば、ジョン・コルトレーン『マイ・フェイヴァリット・シングス』『ジャイアント・ステップス』。マイルス・デイヴィスの『イン・ア・サイレント・ウェイ』などのジャケット写真だ。名作、傑作がたくさんある。レコード・ジャケットを写真家で見ていくのもたのしい。

 さて、そのリー・フリードランダーが出版した『Nude』だ。タイトル通り、彼が50代のときに20代から30代前半の女性たちのヌードを撮影した写真集で、そのなかに、若き無名のマドンナがいる。撮影されたのは79年、マドンナが21歳の時だ。ヒット曲を出し有名になった後、1985年にプレイ・ボーイ誌にも再掲載された。

 最新ライヴは、2012年の『MDNAワールド・ツアー』。その前の2008年のブエノスアイレス公演を納めた『スティッキー&スウィート・ツアー』もオススメだ。

 ところで、なにを隠そう、隠す必要もないけど、マドンナはわたしより二つ年下だ。1958年生まれ。マイケル・ジャクソンもプリンスも1958年生まれ。マイケルは亡くなってしまったけれど、マドンナもプリンスも元気だ。そしてマドンナは、今でも音楽界の女王の座に君臨している。う~ん、まだまだいける。わたしのまわりにいる同世代のみなさん、お互いに、がんばりましょう。[次回10/21(水)更新予定]

■来日情報はこちら
http://www.madonna-japantour2016.com/