また、大阪刑務所の刑務官も、
「一般に使われない言葉がすべてダメだとは感じないです。ただ、廃止すべき言葉もあります。例えば、刑務所では受刑者の食事の分量が、体格や刑務作業と呼ばれる仕事によってなど違います。懲罰の受刑者は『4等飯』、普通の体格なら『3等飯』、金属工場など重労働なら『2等飯』などと呼びます。こうした格差をつけるような言葉は廃止すべきですが、今回の法務省の通知には含まれていませんでした。あと、暴力団の受刑者が多い工場は『サムライ工場』と言いますが、反社会勢力をサムライと呼ぶようなのにも違和感があります。また、工場で働きが悪い受刑者を『モタ』と呼びますが、軽蔑する印象があるのでこれもやめるべきです」
と指摘する。




すべての隠語を廃止する必要はない
現在も西日本の刑務所に10年以上服役している受刑者に隠語の廃止について聞くと、
<社会復帰した時に隠語が邪魔になるかといえば、そんなことはない>
<差別的な隠語もあるので、それはやめてほしい。便利な隠語もあり、すべてを廃止する必要はない>
などと感想を手紙に綴っている。
そして受刑者について「さん」づけで呼ぶことは、刑務官の間ではかなり反発が強いという。「さん」づけの使用が始まっている名古屋刑務所から届いた受刑者の手紙がある。
<〇〇さんといきなり呼ばれても、えっ、て感じ>
<刑務官がすごく戸惑っている。反対に受刑者がつけあがっている感じがして統制がとれなくなる心配もある>
<受刑者が『さんづけで呼べや』と刑務官に食って掛かることもあった>
と混乱もある様子がうかがえる。
また、初犯で暴力団員ではない短期刑の受刑者が収容されるのは「A」と呼ばれる刑務所。犯罪傾向が進んだ、服役すべき刑が10年以上の受刑者が収容されるのは「LB」という刑務所。刑期、犯罪傾向によって、収容される刑務所や矯正、処遇も大きく変わるのだ。