かまいたち

 2月28日放送の『これ余談なんですけど…』(ABCテレビ)の番組内容に一部不適切な部分があったとして、ABCテレビが番組公式サイトで謝罪文を公開した。

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『これ余談なんですけど…』は、かまいたちがMCを務めるトーク番組である。問題の発端となったのは、かまいたちの山内健司が話題に出した薬剤師に対する不満だった。

 病院で診察を受けた後、薬局で処方箋を渡すと、体調が悪いときでも「どうしたんですか? お熱があるんですか?」と改めて症状を確認される。さっさと薬をもらって帰りたいのに、医師に聞かれたのと同じことをまた聞かれることにイライラする、という話をしていた。

 それに対して、ゲストの馬場園梓も「わかる。だってそいつに言ったって薬変われへんから」と共感を示した。さらに、濱家隆一もこれに続けて「やっぱり薬剤師さんも医療に携わってるから、一応、医者憧れみたいなのがあるんちゃう」と言った。

一連のやりとりに番組は謝罪

 この一連のやり取りに関して、ABCテレビは謝罪文の中で「窓口で薬剤師が症状等の確認をすることは、法律(薬剤師法)に基づいた適正な業務であることなど、薬剤師に関する番組側の認識が不足していました。また医師と薬剤師との関係について、薬剤師の方々および関係する皆様にご不快な思いをおかけした内容もありました」と述べていた。

 薬剤師が症状をたずねるのは、薬の処方に間違いがないかを確認するためであり、それ自体が専門的な業務である。番組内でのやり取りを聞いて不快に感じる薬剤師や医療関係者がいるかもしれないし、そもそもテレビの中で明らかに誤解を招くような内容を何の説明もなく発信していることが問題である。出演者の濱家と馬場園も自身のSNS上で謝罪をしていた。

 実際に番組を見た印象としては、たしかに問題のある内容ではあったが、本当に紙一重のところで起きてしまったことだとも思った。

 通常、タレントが人前で話をするときには、自分が話すことにあらゆる角度からチェックを入れて、その場に合わせた内容を発信している。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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再度、山内の発言を視聴してみると