自身のチャンネルで精子凍結したことを報告した人気YouTuberのはじめしゃちょー(YouTubeから)

 自分の精子を凍結する未婚男性が増えているという。若い男性たちに、いま何が起こっているのか。

【写真】精子を凍結する様子

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人気YouTuberも凍結

「今すぐ子どもがほしいわけじゃないですけど、ほしくなったときにできなかったっていうのが、自分の中で引っかかってるというか、怖くて」

 2023年6月、人気YouTuberのはじめしゃちょー(30)が自身の精子凍結を報告する動画が話題を呼んだ。精子凍結に至った背景は、=の記事の佐藤さん同様、精子の加齢が進むことに対して、「自分が年を取って子どもがほしくなったときに、できなかったらどうしよう」という不安があったという。仕事柄、睡眠不足や暴飲暴食など、本人いわく「ハチャメチャな生活」を送っており、日頃の生活習慣も精子の質に大きく関わってくることを踏まえ、「少しでも若いうちに精子を凍結しておこう」と気持ちが固まったことを明かした。

 精液検査を経て、受精までうまくたどり着けない可能性がある形態異常精子の傾向が見られたものの、クリニックからの「大きな問題はない」という説明を受け、精子凍結に踏み切った。将来、子どもを望んだときに、「できないってなったときに使おうかって感じ」だという。

 プライベートかつセンシティブな話題であるがゆえに、「動画にするには結構勇気がいりました」としながらも、「“保険的な感じ”で精子を凍結しました」「こういうのもあるよっていうことを知っていただけたら何よりです」と真剣な表情で語った動画は、3月時点で375万回以上、再生されている。

将来的な備えとしての精子凍結

「加齢による精子の質の低下を踏まえ、将来的な備えとして精子凍結を考える男性は、圧倒的に若い世代が多いです」

 こう話すのは、不妊治療を専門とした「はらメディカルクリニック」で培養士を務める、荒井勇輝さん。はじめしゃちょーの精子凍結を担当した培養士でもある。同クリニックでは、昨年4月から健康な未婚男性の精子凍結をスタートしたが、約1年半で150人程度が凍結を実施した。年間約380件という卵子凍結の件数と比べると、約3分の1にとどまるものの、決して少ない数ではない。

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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