ジャイアントパンダ、ゾウ、キリン、ライオン、シャチ……。動物園の人気者たちと、もしも一緒に暮らしたら? 獣医師の北澤功さんが、現実には飼育不可能な動物を個人で飼育した場合の、費用、苦労、楽しさを想像し、計算してくれました。
* * *
猫好きの皆さん、猫を飼うと1日あたりいくらかかるか、ご存じですか? ズバリ、1日あたり833円。病気をしなければ飼育費用は安価、餌の工夫で未来の医療費も削減できます。
飼い方やお金のかけ方は三者三様
イヌと並び、トップクラスの人気を集めるネコ。人間との関係性がとても深く、飼い主の価値観が反映されやすいのかもしれません。飼い主はみんなネコの幸せを願っているでしょうが、飼い方やお金のかけ方には、様々な考え方があります。
健康に過ごせればお金がかからない
知人からもらい受ければ0円か、わずかな金額ですむこともあるでしょう。仮にそうであっても、その後はタダではありません。健康で過ごせればお金がかからないのがネコですが、最近のネコは長生きです。かかるお金を予習しておきましょう。
かわいいネコにも虫はいる
ネコを迎えて最初にすることは動物病院探しです。候補を見つけたら、ノミ・ダニの駆除や予防という小さな相談で訪問し、雰囲気やスタッフの人柄などを見て判断しましょう。
寄生虫や条虫、回虫などの検査をすることもおすすめします。もし虫がいたら駆虫薬を使うことになるでしょう。背中にたらす液状の薬は2000円前後です。
生後6カ月で去勢・避妊手術
生後6カ月を過ぎたら、去勢や避妊手術を検討しましょう。ネコは発情すると、あちこちにオシッコをしたり、一晩中鳴き続けたりします。繁殖を望まないのに発情させたままにするより、不妊手術をした方がQOL(生活の質)が上がります。去勢2万円から、避妊手術4万円からが相場です。
ウイルス検査・ワクチン接種
なるべく早く、ウイルス検査もしましょう。欠かせないのは、猫エイズと猫白血病ウイルスの検査です。多頭飼育の場合は他のネコに感染させないよう、対処します。もしもこれらの感染症に罹患ずみだったら、治療方法は今のところありませんが、栄養状態の管理などにより対処は可能です。
複数の病気に対する予防接種を一度に行える混合ワクチンは3000円からが相場です。ワクチン接種は健康状態や年齢などに応じて内容や回数が変わってくるので、獣医師に相談しましょう。
日々のフードは健康への投資
ネコは完全肉食性です。最高の食事は、ネズミや魚などを生のまま、内臓を含めすべて丸ごと食べることが理想的です。ただし、それを毎日確保するのは不可能です。
今は、とても便利なキャットフードがあります。肉がたくさん入っていることが大事なので、「タンパク質含有量30パーセント以上」を目安に選びます。ただし、粗悪な鶏を使っているかどうかは、タンパク質含有量表示だけではわかりません。一般に、良質の肉を使ったフードほど高価です。
ネコの健康にはある程度いい餌が必要です。一定以上の品質・価格のものを選び、鶏のモモ肉やムネ肉、レバー、豚や牛の赤身などをゆでてキャットフードに添えると食いつきが良くなり、栄養の観点からも最高です。高品質のフードは2キロで8000円ほどと高価ですが、ネコの健康には理想的です。