※写真はイメージです(Getty Images)

 2020年、日本の生涯未婚率は男性28.3%、女性17.9%であるということが分かり、今後は男性の約3割弱、女性の約2割弱が、結婚せずに人生を終えると予想されている。社会学者で中央大学文学部教授の山田昌弘氏は「もはや昭和時代のように、待っていても「結婚」は降ってこない。就職活動のように自ら行動を起こさなくては結婚できない時代になった」と警鐘をならす。同氏の新著『パラサイト難婚社会』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集し、同氏が指摘する美人が婚活に不利な理由を3つ紹介する。

【表】未婚率は年々上昇している

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 ちなみに「婚活」という言葉は、2007年にジャーナリストの白河桃子さんとの対談の中で生まれました。そして共著『「婚活」時代』(ディスカヴァー携書)で広まっていきます。もはや昭和時代のように、待っていても「結婚」は降ってこない。就職活動のように自ら行動を起こさなくては結婚できない時代になった、ということを申し上げたかったわけですが、そんな「婚活」ワードの“生みの親”たる私でも、リアルな現場で起きていることは驚きの連続です。

 例えば、婚活市場においては、どのような人が結婚に結びつきやすいか。もちろん一定の傾向は存在します。「高身長・高学歴・高収入」の男性はやはり人気です。『「婚活」時代』で白河さんと私は、「女性もこれからは男性に経済的に依存するのではなく、自ら働いて自立することで、夫婦二人で生きていく覚悟が必要だ」と述べたかったのですが、実際には、「専業主婦を養える男性は一握りだから、急いで婚活すべきだ」という風に捉えられてしまったのが残念な限りです。その結果、上記のような男性が相変わらず人気なのですが、ただ、予想外の現象も起きていました。

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山田昌弘

山田昌弘

山田昌弘(やまだ・まさひろ) 1957年、東京生まれ。1981年、東京大学文学部卒。1986年、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、中央大学文学部教授。専門は家族社会学。学卒後も両親宅に同居し独身生活を続ける若者を「パラサイト・シングル」と呼び、「格差社会」という言葉を世に浸透させたことでも知られる。「婚活」という言葉を世に出し、婚活ブームの火付け役ともなった。主な著書に、『近代家族のゆくえ』『家族のリストラクチュアリング』(ともに新曜社)、『パラサイト・シングルの時代』『希望格差社会』(ともに筑摩書房)、『新平等社会』『ここがおかしい日本の社会保障』(ともに文藝春秋)、『迷走する家族』(有斐閣)、『家族ペット』(文春文庫)、『少子社会日本』(岩波書店)、『「家族」難民』『底辺への競争』(朝日新聞出版)などがある。

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