昨年10月に東京ビッグサイトで開催された「第2回 Femtech Tokyo」の様子。3日間で計1万1395人が来場した(写真:Femtech Tokyo事務局提供)
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 ライフステージごとに生じる不調を理由に、やりたいことを諦めざるを得ない女性も少なくない。女性の社会進出に伴い、女性特有の健康課題に対する製品やサービスを指すフェムテック・フェムケアが注目を浴びている。AERA 2024年3月11日号より。

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「婦人科のかかりつけ医をぜひ持ってほしい」と言うのは、「あゆみレディースクリニック高田馬場」の佐藤歩美院長。

「ほかの診療科と違い、婦人科は女性のどの世代も継続して診療します。日頃から不調を相談していくことで、たとえば月経困難症の治療から妊娠に備えての相談になり、産後のケアを経て、更年期をどう過ごしていくかなど、先を見通したライフステージごとへの解決策を得られる」(佐藤院長)

 更年期症状に悩む東日本在住の女性は取材中、「不調のオンパレード」と何度も口にした。更年期症状は、体のあらゆる機能に関係するエストロゲンの急激な減少で生じるため、症状は非常に多岐にわたる。内容も程度も、生じる年齢、期間も個人差がある。

「一つ一つの症状だけを見て、それぞれの診療科を受診していると診断がつきにくい可能性があります」(佐藤院長)

手のしびれの原因は

 58歳の女性は何年も手がしびれていて、明け方に手が痛くて目が覚めることも多かった。一方、28歳の娘も出産後、手のしびれで悩んでいた。2人とも、原因はエストロゲンの急激な減少だった。

 いくつかの病院を経て、母娘が最終的にたどり着いたのが、「四谷メディカルキューブ 手の外科・マイクロサージャリーセンター」の平瀬雄一センター長だ。外来患者の9割以上は女性で、さらにその9割以上が更年期以降の年代になる。

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