衆院政治倫理審査会に臨む岸田首相。疑惑の核心は明らかにならなかった(写真:代表撮影)

 岸田文雄首相の政治倫理審査会出席にまで進展した裏金問題。政倫審での説明では、疑惑の核心は明らかにならないままだ。岸田政権を取り巻く暗雲が晴れる様子はない。岸田政権の行方はどうなるのか。AERA 2024年3月11日号より。

【図表】もう危険水域! 岸田内閣の支持率はこちら

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 裏金問題の霧が晴れず、自民党内では岸田文雄首相の指導力に不満が募っている。政権はズルズルとじり貧が続くのか。勢いを回復する手立てはあるのか。

政治日程四つの節目

 今後の政治日程で節目となるのは、(1)4月初めまでの来年度予算の成立(2)4月28日投開票の衆院補欠選挙(東京15区、島根1区、長崎3区)(3)6月23日の通常国会会期末(4)9月の自民党総裁選。岸田首相は一人当たり4万円の減税(所得税3万円、住民税1万円)が6月から家計に入ることから、景気回復が実感されて政権浮揚につながるという期待もある。

 しかし、現実は甘くない。岸田政権の行方を占ってみよう。

 第一は「じり貧」コースだ。裏金問題の真相解明は進まず、国民の批判は止まない。所得減税の効果もなく、支持率は低迷し続ける。通常国会は乗り切っても、岸田氏支持の動きはしぼみ、総裁再選の展望は開けない。9月の総裁選を前に岸田首相は「出馬断念」を表明し、後継総裁・首相選びが動き出す。石破茂元幹事長、茂木敏充幹事長らが名乗りを上げる。上川陽子外相を推す動きも出るだろう。

 新総裁・首相が決まり、新内閣発足直後に衆院の解散・総選挙で信を問うことになる。裏金問題で逆風を受けている自民党の衆院議員にとっては、新しい顔で総選挙に臨み、少しでも逆風を弱めることができるのは安心材料だろう。一方、総裁再選で長期政権を狙っていた岸田氏にとっては、不本意な展開だ。9月の前に岸田内閣の支持率がさらに低下し、「打たれ強い」と言われる岸田首相も耐え切れず、早期退陣に追い込まれるケースも考えられる。その場合は、総裁選が前倒しされて新総裁・首相を選ぶことになる。

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