「性風俗業の日本人女性が海外に出稼ぎに行く動きは、10年ほど前から少しずつ見られています。彼女たちは日本で稼げなくて生活に困っているというよりは、日本でもある程度稼いでいた人たちが、“より稼ぎたい”と本気で稼ぎに行っている。だから精神的にも相当タフで、行動力のある人が多い印象です」

 昨今は風俗業界でもオンライン面接が多くなり、国内のみならず、海外の店で働く場合も、リモートで手軽に面接が受けられる。セックスワークの場合、現地の言葉がそこまで話せなくても、仕事を得ることができるのもハードルを下げる要因の一つだろう。

 もちろん、性風俗の仕事に抵抗感を持ちながらも、何か事情があって従事せざるを得ない人も多くいる。性風俗業の女性からの法律相談を受けている前出の坂爪さんによれば、生活費や学費の支払い、借金の返済などの理由でやむをえずこの仕事を選んだ、という相談者の女性が多いという。相談者にはホスト狂いの女性も多く、「溜まったツケの返済に困っている」「返す気はあるのだが、お金がなくて返せない」という相談が毎週のように寄せられているという。

 相談者の借金額は50万~300万円であることが多いが、なかには500万円を超えるツケを抱えている人もいる。返済に困った女性の中には、ホストから「海外で稼ぐという手段がある」と持ちかけられ、借金返済のために出稼ぎに行く例も見られる。

「ホストクラブで女性にお金を使わせ、借金を作らせて、風俗の仕事を紹介するという一連の流れができてしまっている。既に風俗の仕事をしている女性には、“自分の知っているお店のほうが、今よりもっと稼げるよ”と誘導する。女性を紹介したホストには、キックバックで紹介料などが入る仕組みで、こうしたサイクルによって一種の経済循環が生まれているとも言えます」(坂爪さん)

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