森永さんが心配するのは、AIや半導体、宇宙といった、いま市場で注目されるテーマの詳しい中身について、投資家が十分理解していないように感じることだ。確かに、技術の開発は進み、将来性が感じられる点は間違いない。
だが期待ばかりが先行し、実力以上の資金が集まっている心配がある。
「将来的にどうなるのか、まだはっきりとは分からない、いわば地に足がついていないような産業や企業に対して、過剰な期待をかけてしまうのはバブルの典型です。実力以上にかさ上げされた株価は、誰かが『あれっ?』と気づいた時に、突然、はげ落ちる。それがいつになるかは誰も分かりません。でも私は少なくても来年までに起きるのではないかと考えています」(森永さん)
中身が伴っていない
森永さんによれば、金融市場でバブルが生じる時にはもう一つ、大きな特徴がみられるという。
投資や金融市場について普段は興味を示さない一般の人々が、こぞって投資を手がけるようになることだ。株価の上昇に伴い、テレビやラジオ、新聞、雑誌といったメディアも株式相場の動きを取り上げ、たくさんの投資本が書店に並ぶようになる。
「一般の消費者が紙面に登場し『〇〇万円を〇年で〇〇億円に増やした』などと紹介するようなニュースや記事をみて、投資する人が増え、それがまた株価を引き上げる。中身が伴っていないのにもかかわらず、期待だけで株価が膨れ上がっていくのは、そうした一般の消費者の動きも大きく影響しているものです」(同)