森永卓郎さん

日経平均株価が史上最高値をつけ、米国でもS&P500種株価指数が連日最高値を更新するなど日米の株式市場は活況だ。1月には新NISA(少額投資非課税制度)が始まり、投資熱はいつにも増して高くなっている。しかし、急速な株価の値上がりに不安や戸惑い、危うさを感じる専門家は少なくない。

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 経済アナリストの森永卓郎さんも、そんな専門家の一人だ。

「今は完全にバブルの状態だと思います。しかも、史上最大のバブルである可能性が高い。新NISAは、少なくても今はやるべきタイミングではないでしょう」

 日経平均は2月22日に終値で3万9098円をつけ、1989年末以来到達できなかった高値を更新した。今も高値を維持している。「現在はバブルではない」として、さらに上値を目指すとにらむ市場関係者は多い。その理由としてよく挙げられるのは、株価収益率(PER)がバブル絶頂期につけた高値の頃に比べて低い点だ。現在は16倍程度とされるが、当時は約60倍だった。

シラーPER(CAPEレシオ)

 これに対し、森永さんはPERで判断すると状況を見誤ると指摘する。

「米著名投資家ウオーレン・バフェット氏が参考にしていると言われることから『バフェット指数』と呼ばれる、名目GDP(国内総生産)と市場全体の時価総額を比べた指標でみても、現在は約2倍の『超割高』と言っていい水準です。ノーベル経済学賞を受賞した米経済学者ロバート・シラー氏の唱える『シラーPER(CAPEレシオ)』という指標は、米国の株価(S&P500種株価指数)で30倍を超えました。すでに大恐慌時を超え、ITバブル期以来の水準です。つまり、株価はいつ半分になっても不思議ではない状況です」

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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