最近ですと、世界的なAIブームから、グローバルな半導体関連の企業の株価が良好で、日経平均を押し上げてくれて半導体平均の日も多いです。つまり、日経平均が上昇していても、あくまでも特定の超優良企業が押し上げていることが多々あり、それを皮肉る投資家が存在するんですね。

(ちなみに、日本を代表するトヨタ自動車の株価が大きく動いても、それほど日経平均は激しい動きをしません。どんな企業に日経平均が左右されやすいか興味がある人は、「日経平均 寄与度 ランキング」と検索してみてください。面白い傾向が見えます)

  以上からわかるのは、日経平均というのは海外で活動している超優良企業の業績の鏡であり、日本国内を主たるビジネス市場と捉えている内需企業や、そこで仕事をしている人が感じる経済の鏡としての機能は、薄い傾向にあるということです。これが違和感の正体でしょう。実際、肌感覚の経済に近い実質賃金(物価以上に賃金が上昇しているかを示す指標)は2年連続マイナスで、日本全体では物価上昇に給料上昇が追いついていない状況です。

 最近では、大企業を中心に賃上げをするニュースが増えてきたものの、中小企業、特に地方の中小企業でも賃上げのムーブメントが起きるか注視されています。というのも、地方は年金に頼ることが多いとみられる高齢者の割合が高く、賃上げをするために販売価格を上げれば、たちまち需要が減りかねないという小売業やサービス業も多いからです。

次のページ
「当時と今では何が違うの?」