現役学生から公募したモデルが、受験時のエピソードや勉強法、キャンパスライフを明かす特別企画。今週は、医学生とプロのキックボクサーという二足の草鞋(わらじ)をはく香川大学医学部3年生・切詰大貴さん(土佐高校卒)が登場。浪人時代から実践している「暗記のコツ」などを語ってくれた。
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アメリカで医師として働く叔父がいる切詰さん。幼心に「命を救う仕事ってかっこいいな」と憧れ、保育園のころから夢見てきた。
しかし、高3で医学部受験に失敗。「『医者になりたい』という言動に、行動が伴っていなかった」と勉強に打ち込む覚悟を決め、小学生から数々の大会で賞を総なめにしてきた空手はやめることにした。
特に「メンタルがしんどかった」のは、2浪目。SNSで流れてくる友人たちの楽しそうな成人式の写真にもへこんだ。そんなときは、「なぜ自分が頑張っているのか」を考え、何度も言い聞かせた。
家族には、「今年受からんかったら、もう医学部を受験するのはやめる」と宣言。背水の陣で臨んだ結果、ようやく合格をつかみとった。地獄と天国を味わった2年間を思い返し、「ドラマチックですねー」と笑う。
浪人時代に確立した自分なりの勉強法は、日々膨大な医学の知識を詰め込む今も役立っている。暗記のポイントは、「幹を作ってから枝葉をつける」ことだ。
「最初から完璧に覚えようとすると、最後までたどりつけなくなる。まずはテスト範囲全体を薄く広く頭に入れて、何周もするうちに徐々に細かい内容を覚えるのが大失敗しない秘訣です」
さらに、「理屈を押さえて覚える」ことで、暗記の労力を減らせる。
「たとえば心臓って弁が四つあって、どの弁が狭窄(きょうさく・開きが悪くなる)や閉鎖不全を起こすかで心音図の波形が変わるんです。それを一つずつ覚えるのは大変だけど、『ここが狭窄すると血液がこう流れて、この音になる』と理解していれば、丸暗記しなくて済みますよね」