厚生連高岡病院 消化器外科診療部長 小竹優範 医師  写真/上田泰世(写真映像部)
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 医師もひとりの人。なぜ医の道を選び、どう修練を積み、今何を目指しているのか。人それぞれ経験や思いは異なる。しかし、時間に限りがある診療の現場では、医師の人となりや胸の内を詳しく聞くことは難しい。そこで週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2024』では、最前線で活躍する注目の外科医6人をインタビューした。本記事では大腸がん手術の注目外科医、厚生連高岡病院 消化器外科診療部長 小竹優範 医師を紹介する。

【図表】厚生連高岡病院・小竹優範医師の略歴はこちら

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 すべての大腸がんにおいてロボット手術が保険適用となり、急速に普及している。小竹優範医師は、北陸で最初に直腸がんと結腸がんの「ロボット支援手術認定プロクター」を取得。認定プロクターとは、日本内視鏡外科学会による認定制度で、認定されるとロボット操作に習熟していることの証しになる。

 小竹医師が勤務する厚生連高岡病院の大腸がんの年間手術数は約200例、そのうち直腸がんは約80例で、現在そのすべてをロボット手術で実施している。

 「自分が思い描いた手術に、限りなく近づけられるのがロボット手術。例えば直腸がんで骨盤の奥深くで操作をする場合、腹腔鏡手術では、器具の角度に制限があって切る場所がミリ単位でずれることがあるのですが、ロボットはアームの関節が曲がるので、ピンポイントで切ることができます。質の高い手術を目指すほど、ロボットのメリットを生かせると感じています」

 正確な位置にメスを入れられるということは、がんを確実に切除するほか、血管や神経を残し、術後に排尿障害や性機能障害などを防ぐことにつながる。

症例数トップの病院のレベルの高さに驚く

 小竹医師が卒業した自治医科大学は、卒業後通常9年間の義務年限があり、へき地などの地域医療に従事する。

 「大学のときに外科医を目指すことにしたのですが、卒後約5年は診療所勤務などで手術をあまり経験できず、焦りました。外科に配属されてからは、緊急手術にはすべて入って、遅れを取り戻そうとがむしゃらでした。今は術後管理などで内科での経験が役立っているので、無駄ではなかったと感じています」

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東京のトップクラスの病院をめぐり、技術のさらなる向上を目指した