高層マンションが林立する都心部。いつかは買いたいと考えていたら、いつの間にか販売平均価格は「億超え」に。どこまで上がり続けるのか(撮影/写真映像部・松永卓也)
この記事の写真をすべて見る

 東京の新築マンションの値上がりが止まらない。特に23区のマンションの勢いはすさまじく、昨年の1戸あたりの平均価格は1億円を超えた。なぜ値上がりし続けるのか。AERA 2024年2月26日号より。

【図表】10年で2倍! 高騰し続ける東京23区の新築マンション価格はこちら

*  *  *

 正月明け早々の1月9日、東京の湾岸地域、月島に建設予定のタワーマンション、「グランドシティタワー月島」の売り出しが始まった。58階建て総戸数1285戸のうち、第1期として販売されたのは55.45~91.25平方メートルの145戸。価格は1億900万~2億4千万円だったが、開始後ほどなく全戸が売れた。

 主要な売主である住友不動産の広報担当者が言う。

「目立ったのは二つのお客さまのグループです。一つは、パワーカップルの上をいく世帯年収2千万円クラスの『新パワーカップル』とでもいうべきお客さまたち。もう一つは、同じ月島のタワマンに住んでいらして、そこから買い替えをなさったお客さまたちです」

「新パワーカップル」は買える財力があるからとわかるが、買い替えはなぜできるのか。それこそ、住んでいるタワマンが購入した価格以上に値上がりしているからにほかならない。今のタワマンを売って、その売却益を利用するのだ──。

新築は10年で「2倍」に

 東京のマンションの値上がりが止まらない。とりわけ23区の新築マンションはすさまじく、不動産経済研究所が毎年発表している「新築分譲マンション市場動向2023」によると、昨年の1戸あたりの平均価格は1億1483万円と、1億円の大台を突破した。

 23区の新築マンションは2013年を始点として、ほぼ一貫して上がり続けている。13年の平均価格は5853万円だったから、10年で2倍になった格好だ。

 グラフを見ると、ここに来て上げ足を早めているように見える。昨年は前年比39・4%と急騰したが、これは明確な特殊事情によるという。少数の超高額物件が全体を引き上げたのだ。

次のページ