迎える今季は、クラブ、選手、サポーターが「J1昇格」という目標をしっかりと見据えて開幕を迎える。オフには多くの選手が入れ替わり、攻撃の核だったチアゴ・アウベス、守備の要だった野田裕喜の退団は痛いが、それぞれMF坂本亘基(←横浜FC)、DF安部崇士(←徳島)でしっかりと穴埋めに成功。10得点を挙げたFW藤本佳希、中盤の軸だったMF南秀仁は健在であり、ドリブラーの杉山直宏(←G大阪)がJ2舞台で復調すれば面白くなり、2022年にJ3得点王&MVP に輝いた24歳のFW有田稜(←いわき)はまだまだ成長できる。守備が安定すれば、J1昇格の有力チームになれるはずだ。

 その他、J2連続7年目となる甲府は、オフにFWファビアン・ゴンザレス(←磐田)、MFアダイウトン(←FC東京)、MF木村卓斗(←横浜FM)とJ1クラブから戦力を補充。昨季はACLの戦いに注力せざるを得なかったが、今季はリーグ戦に集中(2月21日にラウンド16第2戦を戦う)できることは大きい。長谷川元希、三浦颯太、井上詩音らがJ1クラブへ移籍したが、今季の戦力でもJ2で上位を争える力は十分にある。

 まだ“沼歴”は浅いが、J2連続3年目となる大分は、片野坂知宏監督が3季ぶりに復帰。指揮官の“カタノサッカー”が浸透してスタートダッシュを決めることができれば、チャンスはある。同じくJ2連続3年目で今季から前U-17日本代表監督の森山佳郎氏がチームを指揮する仙台も“面白い”チームだ。育成年代で実績十分な新指揮官のもと、チーム一丸で台風の目になれるかどうか。元U-17ブラジル代表の肩書を持つFWエロン(←ヴィラ・ノヴァFC)の爆発に期待したい。

 そして“本命”清水が、果たしてどうなるか。昨季のチームからチアゴ・サンタナ、中山克広、岸本武流、鈴木義宜らが抜けたが、FWドウグラス・タンキ(←コジャエリスポル)、MF松崎快(←浦和)、GK沖悠哉(←鹿島)を獲得し、MF中村亮太朗(←鹿島)、蓮川壮大(←FC東京)らをレンタルで獲得した。乾貴士は健在で、今季は秋葉忠宏監督の“熱さ”を開幕から注入できるのは大きい。ただ、今季の昇格を逃すとオフのさらなる戦力流出は避けられず、“ハマったら抜け出せない”という恐るべき「J2沼」に引きずり込まれる恐れがある。清水にとっては失敗が許されないシーズン。その重圧を跳ね除ける力があるかどうか。

 例年、J1以上に各クラブの戦力の入れ替わりが激しく、戦前の予想が難しいJ2の戦い。まずはどのチークがスタートダッシュを切るのか。J2暮らしの長いクラブの“滑り出し”に注目したい。(文・三和直樹)

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