日経平均株価は史上最高値に肉薄した

 16日の日経平均株価は一時700円以上値上がりし、バブル絶頂期の1989年12月につけた終値ベースの史上最高値3万8915円87銭にあと50円ほどまで迫った。最高値更新が視野に入り、日本株はこれからどうなるか。バブル期を知る、三菱UFJ信託銀行受託運用部チーフストラテジストの芳賀沼千里さんに聞いた。

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――バブル期と比べて今の状況をどう見ていますか。

 当時とはだいぶ状況が異なります。まず、株価の投資尺度(バリュエーション)をみてみましょう。当時は、株価が企業の業績に対して割高か割安かどうかを判断する「株価収益率(PER)」という指標が50~60倍程度でした。米国の株価は14~15倍でしたから、日本は異様に高かったのです。

 これに対し、現在は16倍前後で推移しています。バリュエーションは高くはないものの、企業の利益はしっかりと出ているため、日経平均の水準は当時に匹敵するというのが現在の状況だと思います。

現在は5%台

 また、当時とは世界経済における日本の立ち位置が大きく違います。米MSCI社が算出する代表的な世界株指数をみてみましょう。日本の株式は当時、世界全体の4割以上を占めていました。しかし現在は5%台にまで下がっています。当時は世界の株価を語る上で日本は欠かせない存在でしたが、今は多くの国の中の一つにすぎないという位置づけです。

 足元の株価の値動きにも表れているかもしれません。今まで日本を見ていなかった外国人投資家が久しぶりに日本株を見てみたら、見ていなかった間に良くなっているぞ、と。外国人投資家がちょっと日本株を買っただけで思ったよりも値上がりしてしまったというイメージです。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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