さらに、当時とは日本人の意識も大きく違います。あの頃の日本人は強気で自信があったというか、イケイケドンドンのムードがありました。経営者の中には「米国から学ぶものはもう何もない」といった意見までありました。
でも今は世界のトップ企業からは出遅れ、背中を追いかける状況です。よく言えば謙虚、悪く言えば内向き。ちょっと慎重すぎるくらいの印象です。
――株価指標が当時に比べてまだ割高ではないということは、株価はこれからもっと値上がりするのでしょうか。
高値の更新は近く実現するでしょう。3~4年の中長期でみて、上昇していくとみています。
しかし、さらなる高値を目指していくのは来年以降になるのではないでしょうか。
強欲インフレ
――なぜですか。
今後、米国の景気が減速し、企業の業績が悪化する可能性があると考えているからです。例えば、米企業には「強欲インフレ」と呼ばれるような、業績をかさ上げした動きの反動が生じる心配があります。強欲インフレというのは、企業が、賃金や原材料価格といったコストの値上がり分を上回るような商品やサービスの値上げを行い、業績を底上げすることです。それが可能だったのは、需要に対して供給が追い付かなかったためですが、供給制約は緩和されてきています。そうした中で、景気減速によって需要が弱くなると、企業の利益率は予想以上に下がる可能性があります。
こうした動きはまだ表面化していませんが、4月前後に予定される次の四半期決算が発表されるタイミング以降に数字として表れてくれば、株価が弱含む場面があるかもしれません。米国の景気が悪化すれば、当然、日本企業にも逆風です。場合によっては、株価がスピード調整を迫られる場面もあるかもしれません。