博士課程修了式の日に息子とともに(小野悠さん提供)
博士課程修了式の日に息子とともに(小野悠さん提供)
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 科学ジャーナリストの高橋真理子さんが、女性科学者の仕事へのこだわりと熱意を引き出しながら人生に迫った人気連載「科学に魅せられて~女性研究者に聞く仕事と人生」。その道を切り開いた人たちの言葉は多くの読者をひきつけた。中でも反響の大きかった回を大学受験シーズンで学問への関心が高まるいま、ベストセレクションとしてお届けする。今回は都市工学者の小野悠さん(この記事は、2023年2月7日に配信した内容の再掲です。年齢、肩書等は当時)。

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「日本の科学を、もっと元気に!」を合言葉とするNPO法人「日本科学振興協会(JAAS=ジャース)」が昨年、誕生した。官製やお仕着せではなく、日本の科学の活性化に関心を持つ人たちが自主的に集まった組織である。昨年6月には熱気あふれるキックオフ会議を東京・お台場の東京国際交流館で催した。オンラインを含めた延べ参加者は3000人超。その開会式の壇上に第1期代表理事として、ラフなTシャツ姿で現れたのが都市工学者の小野悠さん(39)だ。豊橋技術科学大学(愛知県)の准教授で、研究室ホームページを見ると「学生時代にアフリカ、アジア、南米など約70カ国を旅し、博士課程在学中にナイロビのスラムで暮らす」とある。一体どんな人なんだろう。(聞き手・構成/科学ジャーナリスト・高橋真理子)

――どういう研究をされているのでしょう?

 対象にしているのは、インフォーマル市街地といって、法律や制度の外側で自然発生的に形成される都市です。こういうところは衛生環境や貧困などの課題を抱える一方で、日本の都市にはない魅力を見せるんです。住む人たちがどういう視点で空間を形成し、ルールを維持しているのかを調べることで、そうした魅力の要因を探り、今後の都市計画に生かしていけたらと考えています。調べるには現地に行って住民と信頼関係を築くことが不可欠で、アフリカやインドでフィールドワークをしつつ、一方で日本の地域づくりプロジェクトにも関わってきました。

 こういう体験が、何もないところから新しい組織をつくるのに役立つかなと思って、準備委員会(*)をつくるときに「委員長やる?」と聞かれて「やろっか」と答えてしまいました。

 私は2017年に豊橋技科大に着任し、そのころに日本学術会議の連携会員になって、情報が入ってきた。最初の集まりは東大で開かれたので参加できなかったんですが、コロナ禍になってオンライン会議が頻繁に開かれるようになり、こちらもコロナで時間ができたので、積極的に参加しました。

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高橋真理子

高橋真理子

高橋真理子(たかはし・まりこ)/ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネータ―。1956年生まれ。東京大学理学部物理学科卒。40年余勤めた朝日新聞ではほぼ一貫して科学技術や医療の報道に関わった。著書に『重力波発見! 新しい天文学の扉を開く黄金のカギ』(新潮選書)など

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大変でした(笑)…勝手に責任感を感じてたんですが