標準語と関西弁を使い分け

 一方、ポジティブコメントを返す瞬発力や、ポジティブワードの語彙力はさすが。その頭の回転の速さは、彼女が評価される大きな要素だろう。

「人志松本の酒のツマミになる話」(フジテレビ系、21年8月20日放送)では、コップ1個でもタオル1個でも、小さいものの良いところを探すのが好きというアンミカに、千鳥・ノブが「その(手元の白い)タオルもいけます?」と振ると、「白って200色あんねん」と即答。これに出演者たちは大爆笑し、その後、ツイッターでミーム化(まねること)するなど話題になった。

「ワードセンスだけでなく、話に説得力もあります。“通販番組の女王”ともいわれるアンミカですが、テクニックとして、商品によって方言を使い分けていることをバラエティー番組で明かしています。ジュエリーを売るときは標準語で、理由は高価なものはそのほうが雰囲気が出るから。一方、化粧品など人の悩みに寄り添う商品の場合は、身近な人でなければならないので関西弁を使うと説明し、スタジオも納得してました。万人を“なるほど”と思わせるような話術があるのも好印象につながっていると思います」(同)

 また、「幼少期から今に至るまでの生き方に共感する人も多いのでは」と語るのは、女性週刊誌の編集者だ。

「6歳のころは4畳半に家族7人で住み、夜中3時ごろに家族でリュックを背負って市場に行き、捨ててある野菜を拾って帰ったなど、バラエティー番組でたびたび貧困エピソードを明かしています。学生時代に、友人とお好み焼きを食べることになったが、自分だけお金がないのでひとり鉄板でしょうゆを焼き、すごくおいしかったというエピソードも。友人も『おいしそう』と興味を示し、お好み焼きとトレードしてくれたそうです。アンミカの場合、好感度だけで勝負するタレントではないですし、ファンもアンチも多いということは、ある意味、それだけ強烈な魅力を持っているということだと思います」

 元「週刊SPA!」芸能デスクの田辺健二氏はアンミカについてこう述べる。

「今の活躍の契機になったのは、通販番組です。初期のころはジュエリーが一つしか売れず、しかも買ってくれたのは夫でかなり苦戦したそうです。そこから一念発起してジュエリーコーディネーターの資格を取るなど努力を続けた結果、“1日5億円を動かす通販の女王”というポジションを確立しました。通販番組にはさまざまな細かい規約があり、それでいて短時間で視聴者の心をわしづかみにしなければいけないという、テレビで最も難しい仕事といわれています。近年は、通販番組で培った独自のバランス感覚やプレゼン力を武器に、バラエティー番組で活躍しています。『元カレがスパイ」など強めのエピソードだけではなく、非常にわかりやすいキャラを確立できたことで、視聴者的にも見やすくなった印象です。今後はご意見番としてだけでなく、ロケやトークもできるマルチなテレビタレントとして、さらなる進化を遂げていくはずです」

 チャキチャキの関西弁のなかに、どこか品の良さも感じさせるアンミカ。独自のポジションで、今後も重宝されそうだ。

(丸山ひろし)

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