心地いいと感じる部屋は、もちろん人によって違う。中島さんは、心理学に基づいて、4つのタイプに分けて部屋作りのアドバイスをしている。これは、情熱的でエネルギッシュなリーダータイプの人が心地よいと感じる部屋の例

 中島輝(なかしま・てる)さんは、自己肯定感を高め、心を楽にして生きるためのさまざまな方法や心の持ち方、習慣のコツなどを、講演や本、ラジオを通して多くの人に伝えている心理カウンセラー。1万5000人を超えるクライアントのカウンセリングをしてきたという中島さんが2024年1月に出版したのが、『自己肯定感を高めるインテリアブック』という本だ。

 中島さんはこの本で、「住居空間やインテリアが自己肯定感に影響する」としているのだが、一体どんなふうに……?本から引用する形で、インテリアと自己肯定感の関係を解き明かしたい。

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 自分がほっとする心地よい部屋にいると、心は安定し、思考も前向きになります。居住環境がよい→心地よさを実感→心の状態は良好→心の免疫力が高くなる→自己肯定感を高いままキープできる、となり、たとえ外で落ち込むことがあっても、家で過ごすことで、心地よさを実感→心の状態は良好……というポジティブな循環が生まれます。

 逆に居心地の悪い部屋はストレスになり、イライラしたり心が不安定になったりしてネガティブな考えにとらわれ、自己肯定感も低下します。外で嫌なことがあって家に帰っても、整理整頓されていない部屋、汚れた部屋ではさらに心が落ち込むだけ。ネガティブな循環に陥ってしまうのです。

 では、インテリアを整えるとなぜ自己肯定感が高まるのでしょうか。

 たとえば、みなさんの部屋にあるソファーを見てください。何色ですか?デザインはどのようなものですか?手触りや座り心地はどのような感じですか?

 家の中にあるインテリアに目を向けてください。ソファーや棚などの大きな家具、カーテンやカーペット、テーブルやいす、小物類もたくさんありますよね。置物や絵画などのアート系インテリア、タオルやスリッパ、食器など、日常使いするものもたくさんあるでしょう。

 インテリアを構成するのは、色や色彩、デザイン、素材、手触り感や使用感、香りなどです。実は、これらの要素はすべて五感に訴えかけるものです。脳、つまり心に働きかけてきます。なかでも、目から得られる情報は心に大きな影響を与えます。なぜなら、人間が得る情報の約8割は目から得ているからです。家の中で目に映るものはすべて自己肯定感に関係すると言えます。

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