少し話はそれますが、実は大人になると自己肯定感が下がりやすくなります。誰でもそうですが、失敗した経験は強く心に残りますよね。同じ失敗は繰り返したくないという意識が強くなり、これが自己肯定感を低くするきっかけになります。
こうした状況を乗り切る方法の一つが、自分が安心できる部屋を持つこと。自分らしくいられる部屋を持ち、そこでリラックスすることが失敗への恐怖を打ち消してくれます。そして、居住空間を自分にとっていいものにするための方法が、「インテリアを変えること」なのです。
インテリアを変えることは「気分転換」の意味があり、この「気分転換」が自己肯定感と関係しています。自己肯定感を高めるには、これまで否定的に見ていたものを肯定的にとらえることが必要です。これを「心の視点移動」と言います。コップに半分まで水が入っているとき、「もう半分しかない」とネガティブに思うのではなく、「まだ半分も入っている」とポジティブに考えるようにするわけです。
人間は1日6万回も思考していると言われますが、悲しいことにこのうちの約80%はネガティブ思考になっています。人はもともとネガティブ思考に傾きがちなので、毎日少しずつ心の視点を移動してあげることが必要なんですね。
心の視点移動は、旅行に行ったり、趣味に没頭したりすることでも可能ですが、家に居ながらできるのがインテリアを変えたり模様替えをしたりすることです。居心地のよい部屋で過ごすことで、少しずつ、心の視点移動が素早くできるようになります。
脳には、繰り返し同じものを見たり同じ体験をしたりするとマンネリ化し、どんどんネガティブ思考になっていくというやっかいな性質があります。インテリアを変えるのは、脳をリフレッシュさせてマンネリ化を防ぐことにつながります。階段の踊り場に好きなオブジェを置くだけでもいいんです。それが脳への刺激となり心の視点移動が起こることで、自己肯定感はアップします。
洋服を変えて気持ちを奮い立たせることってありますよね。今日は会社で大事なプレゼンがあるから赤い洋服を着て自分を勢いづかせたい、今日はデートだから普段は着ないワンピースを着て気分を上げたい……。洋服と同じように、インテリアを活用するのもあり!なんです。
好きなインテリアに囲まれて暮らすと、それが自分の視界に入るたびに心地よさのスイッチがオンになり、無意識にポジティブなメッセージを受け取ることができます。気持ちが前向きになることで、自己肯定感が高くなっていくのです。
(構成 生活・文化編集部 森 香織)