一方、ある時から一気に露出が減ってしまう。いったいなぜか。女性週刊誌の記者はこう解説する。
「NHKの『好きなタレント』調査でも1988年から8年連続で好感度タレント1位を獲得していましたが、90年代半ばから仕事が減少しテレビから姿を消してしまいます。これについて、山田自身は『たぶん出過ぎたんだと思うんです』『(他の芸能人から)かなり激しいブロックにあいました』とトーク番組で振り返っていました。その後、1995年に不倫スキャンダルが週刊誌で報じられ、芸能リポーターに悪態をつく姿が放送されて一気にお茶の間の好感度も急降下しました。また、2007年頃に乳がんが見つかり、10年以上にわたり闘病していたのは有名な話。こうしたさまざまな要因があり、山田邦子はテレビから突然、姿を消したというイメージがついたのでしょう」
一方、近年の山田の活動について前出のテレビ情報誌編集者はこう説明する。
「2020年にYouTubeチャンネルを開設しています。芸能裏話などがトークが中心で、現在チャンネル登録者数は8万人を超えたくらいですが、『山田邦子が選ぶ怖かった芸能人ランキング!』という動画では再生回数200万回を突破。コメントを見ると、『トークこんなに上手だったのかと改めて感じました』『やっぱりしゃべりがうまいし、聞いているひとを不快にさせない』など、称賛の声が目立っています。また、2019年頃から寄席に出始め、漫談を披露しています。2年前には“憧れの場所”だったと言う浅草演芸ホールに初出演。さらに、その後『笑点』の演芸コーナーにも出演しています。デビュー当時のバスガイドネタをはじめ、さまざまなネタを披露していましたが、間や空気の作り方など、さすがの安定感でした。M-1の審査は期待してもいいと思います」
そんな山田邦子について、お笑い評論家のラリー遠田氏はこう述べる。
「勇退した上沼さんに代わる存在として、ある程度の実績と知名度がある女性芸人ということで考えると、邦子さんはまさに適任でしょう。彼女は芸人として一世を風靡しただけでなく、小説やエッセーを書いたり、作詞家でもあります。多くのミュージシャンやタレントと交流を深め、一緒に仕事をしているのでプロデューサー的な目線も持っています。だからこそ、M-1の審査員としても出場する芸人の才能を見抜き、適切な評価を下すことができるのではないでしょうか」
M-1では、ネタだけでなく審査員の点数やコメントも注目される。山田からどんな講評が飛び出すか楽しみだ。(丸山ひろし)