契約更改会見後、色紙に「優勝」としたためた

 佐々木朗はロッテ入団前から、将来的にメジャーでプレーしたいという思いを抱いていた。これは決して珍しいことではない。近年にNPBの球団に入団する新人の中には、「メジャーでプレーすることが目標」と堂々と公言するケースが見られる。大谷翔平ドジャース)、ダルビッシュ有(パドレス)、鈴木誠也(カブス)、吉田正尚(レッドソックス)ら日本を代表する選手たちが活躍している姿を見たら、世界最高峰の舞台に憧れを抱くのは自然な感情ともいえる。

 ただ、ポスティングシステムによるメジャー挑戦は球団の理解が得られてこそ、実現する。今年からメジャーに挑戦する山本由伸(ドジャース)、今永昇太(カブス)は先発ローテーションで稼働し続けてチームに対する貢献度が認められたから、球団も夢の舞台への挑戦を後押しした。

 佐々木朗はどうだろうか。能力は申し分ない。プロ3年目の2022年4月10日のオリックス戦(ZOZOマリン)では20歳5カ月の史上最年少記録で完全試合を達成。NPB日本人最速タイの165キロの直球、スライダー、フォークは全てが超一級品だ。打者がバットに当てるのさえ難しい領域に到達しているが、稼働率が高いとはいえない。自己最多は22年の9勝。プロ4年間で2ケタ勝利、規定投球回数に到達したシーズンは一度もない。昨年は5月に右手中指のマメの影響で3週間以上登板間隔を空け、7月下旬に左内腹斜筋の肉離れで1カ月半戦線離脱した。15試合登板で投球回数は91イニングにとどまり、7勝4敗、防御率1.78。

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批判覚悟で佐々木朗を守る