昨年12月26日、棚橋弘至の社長就任会見が行われた。19年ぶり4人目の「社長レスラー」として、その舵取りには期待がかかる (c)新日本プロレス
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 今やプロレスは大小様々な団体が設立され、フリーの選手も含めると数え切れないほどの選手たちが連日戦っている。娯楽に対する価値観も多様化・細分化する中で、プロレス界も連盟の設立など新たな局面を迎えている。AERA 2024年2月5日号より。

【写真】社長就任後初の興行が年間最大のビッグマッチとなった棚橋弘至

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 新日本プロレスの新社長に就任した棚橋弘至は、この時代におけるプロレスの立ち位置について、本誌の取材にこう語る。

「いろんなことがあって、多くの人がストレスを抱えているこの時代に、会場に足を運んでプロレスを観戦するという行為は、数時間でもイヤなことを忘れて没頭できる時間になると思うんですよね。プロレスは見る人に元気や勇気を与えられるものだし、プロレスラーはそれが仕事ですから」

 実際、新日本、全日本プロレスにプロレスリング・ノアが加わって合同で行われた「ALL TOGETHER」の第2回大会は、震災の被災地である仙台で開催された。

 かつては阪神・淡路大震災の2日後、全日本プロレスが大阪大会を予定どおりに開催し、川田利明と小橋建太が60分時間切れの激闘を展開したこともある。状況に違いはあれど、どちらも被災者を大いに勇気づけた。それだけのパワーがプロレスにはあるし、何より他のスポーツ・エンターテインメントと比べてもフットワークの軽さは特筆すべきものがある。

 新社長の棚橋に日本プロレスリング連盟の意義・役割について聞くと、このような答えが返ってきた。

「今はプロレス団体がたくさんありますが、ファンのためにはなるべく開催地が集中せず、全国の人が見られる方がいいですよね。また興行日程が重なるのもファンのためにはならないので、そういった部分も話し合っていきたいですね」

社長就任後初の興行が年間最大のビッグマッチ、1月4日の東京ドーム大会となった棚橋弘至。久々にシングル王座を奪取して勢いをつけた (c)新日本プロレス

アジアの団体と連携

 発足時点で連盟に参加しているのは9団体だが、それ以外の団体を排除しているわけではなく、今後も加盟団体を幅広く受け入れるという。その場合、課題の一つになるのが「プロレスラーの定義」だ。かつては業界団体によるライセンス発行を模索する動きもあったが、統一しての基準となるとなかなか難しいものがある。そこについての棚橋の見解はこうだ。

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