また現行のMLB規則では25歳までの海外選手はマイナー契約しか結べず、契約で使える金額の上限も制限されている。ドジャースに移籍した山本由伸(オリックスからポスティング)の12年総額3億2500万ドル(約477億1000万円)を考えれば球団も「もう少し待ったほうが良い」と考えるのは自然ではある。

「山本の譲渡金としてドジャースからオリックスに推定約70億円が入る。佐々木が順調に成長して(25歳以降にポスティング移籍となれば)それに近い金額を手にできる。ロッテ球団としては喉から手が出るほど欲しいので25歳までは移籍させたくないのは当然でしょう」(ロッテ担当記者)

 大谷翔平は2017年オフ、23歳の時にポスティング制度でエンゼルスに移籍。契約金231万5000ドル(約3億4000万円)、マイナー契約の年俸54万5000ドル(約8000万円)で、日本ハムには2000万ドル(約29億4000万円)の譲渡金が支払われたとされる。

 しかし、ポスティングのルールが変更され、現在では契約の内容によって譲渡金の額が変わるシステムに。仮にマイナー契約しか結ぶことのできない25歳を前に佐々木がメジャーに移籍した場合、佐々木自体に入る金額も低くなるが、それに伴い球団に入る譲渡金も大幅に減ってしまう。佐々木が最高の条件で契約を結んだとしても、25歳前なら譲渡金は最高で100万ドル(約1億5000万円)程度にとどまると見られている。

 これでは球団に入る金額はずいぶん減ってしまい、まだ成長過程でもある佐々木は「25歳まで待つべき」という意見はうなずけるものではある。

 だが、一方で佐々木のこれまでの球団への貢献度を考えれば、すでに“恩返し”はしたという意見もある。

「(佐々木は)球団の顔としてCMなどで多くの露出があり、集客やグッズ売り上げにも大きく貢献している。ここまでの経済効果を考えれば球団に大きなメリットをもたらした」(大手広告代理店関係者)

「日本ハム時代の大谷は球団の方針で必要最小限の露出しか認めず野球に没頭できる環境を作った。一方、佐々木を早くから球団の顔として起用してきたロッテとは違う。大谷が移籍した23歳時点での状況は異なる」(スポーツマーケティング会社関係者)

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ロッテは今オフにもメジャー移籍を容認するか