でも「衣食住をととのえたい」と思うとき、多くの人はこの自分の「馴染みのあるもの」に戻そうとするよりも、そこからどんどん離れるようなことをしたくなったりします。

 着たことがないデザインの服を選んだり、お肉が大好きなのに急に野菜中心の食生活にしてみたり、これまで住んだことのないようなハイスペックの部屋を選んでみたり……。

 そうすると、本来自分にとって「心地いいこと」から、どんどんズレていきます。

 そしてあるとき「なんか違う」と気づいて、また全て変えたくなる……なんてことが起こってしまうかもしれません。

 自分に馴染みがあるもの、愛着があるものをきちんと大切にして、嫌がったり否定したりせずに、前向きに捉え直してみると、衣食住も自然と自分に沿った形に「ととのう」のではないかと思います。

 どこかからの「これが正しい」に自分の衣食住を合わせるのが「ととのえる」ことではない、と思うのです。

 私にとって、着心地のいい衣服、ご飯と味噌汁の食事、リラックスして過ごせる住まいは、何ものにも代えがたいものです。

 自分が満足できることは、「世間的な評価」とはまた別のところにある、ということをわかっていた方が、周りの影響を受けてブレることもなくなり、暮らしの満足度が上がるのではないかと思っています。

暮らしとモノ班 for promotion
「集中できる環境」整っていますか?子どもの勉強、テレワークにも役立つ環境づくりのコツ
次のページ
「頭の声」でなく「心の声」を