バレーボールと「軽いランニングと筋トレ」を長年続けている。「動けなくなるのが嫌なんですよね、イライラする(笑)」(撮影/写真映像部・松永卓也)
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 And I will always love you──ホイットニー・ヒューストンの名曲が流れる舞台「ボディガード」への出演3回目を迎えた俳優・大谷亮平さんは、このフレーズにふさわしい温かさと真摯さに満ちていた。AERA 2024年1月29日号より。

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「誰もがみんな、同じことができると思うなってことですよね。自分基準で考えてはいけない」

 穏やかな声で、大谷亮平さんはそう言葉を紡いだ。180センチの長身に、引き締まった筋肉。芸能界でのキャリアがモデルから始まったというのもうなずける。2003年、CM出演がきっかけとなって韓国に拠点を移し、モデル・俳優として人気を博した。16年から日本でも活動を開始するや、大ヒットドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で注目を浴び、18年には朝ドラ「まんぷく」にも出演するなど、その道程は順風満帆だ。

 そんな大谷さんが、「何かを諦めなくてはならなかった人の気持ちがわかる」と口にすることには驚きもあるが、その裏には、バレーボール選手としての挫折があったという。中学時代には大阪府で優勝、プロを目指したほどの実力の持ち主だが、強豪校に進学した「高校生ぐらいから、できないことが出てきて、上には上がいる、と思い知らされて。性格も変わりましたからね、ずいぶん」と振り返る。

「できない人もいるのが当然」とは、子どもの頃からよく母親に諭されたことでもあった。

「自分がちょっとできるからって、好き勝手やるなって、バレーボールをやっているころは特に、すごく怒られましたね。あなたにできることがあるんだったら、できない人をちゃんと助けなさい、って何度も言われました。たぶん、母もそういう経験をしたんじゃないですかね。いまの仕事をしていても言われますから。もちろん仕事でも、得意不得意がありますしね」

 そうして得た経験や思いは、いま、役者として演技をするうえでも生きているのだろうか。

「いや、演技より、むしろ、いろいろな生活のなかで、ですね。みんなの目が向くのは、できない人よりも、できる人。社会生活のなかでは、よく目にする光景ですよね。どうしても、できる人ばかりに光が当たる。それは当たり前ですけど、そうではないところにも、きちんと目を向けておかないと」

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