上沢が抜ける日本ハムオリックスからFAで山崎福也を獲得し、新たに外国人投手3人が加わるなど大型補強を見せているが、次のエースとして期待したいのはやはり伊藤大海になるだろう。入団から3年連続で規定投球回数をクリアしているのは立派だが、昨年はWBC出場の影響もあってか7勝10敗と負け越すなど不本意なシーズンに終わった。プロ1年目に出場した東京五輪や昨年のWBCでの投球を見ても分かるように大舞台での強さは圧倒的なものがあるだけに、プロ3年間で通算27勝28敗という成績はどうしても物足りなく見えてしまう。金村尚真、根本悠楓などブレイクが期待される若手も少なくないだけに、今年は新たな日本ハムのエースとして名実ともに相応しい成績を残してくれることを期待したい。

 ここまでの3球団は退団したエースの後継者候補となる名前が比較的すんなり出てきたが、具体名がなかなか挙がってこないのが千賀の抜けたソフトバンクだ。昨年は12球団で唯一規定投球回数に到達した投手が不在で、10勝を挙げて勝ち頭となった有原航平、2位の8勝をマークした和田毅はいずれもメジャー経験もあるベテラン投手というところにチーム事情がよく表れている。

 さらに心配になるのが二軍の状況で、投球回が多かった順に選手を並べてみると高橋礼(トレードで巨人に移籍)、ガンケル(退団)、松本晴(ドラフト5位ルーキー)、森唯斗(自由契約となりDeNAに移籍)、木村光(育成ドラフト3位ルーキー)と既に退団した投手とルーキーで占められているのだ。

 松本と木村は楽しみな存在ではあるが、成績を見ても次のエースと呼べる段階の選手ではない。強いて挙げるのであれば昨年プロ初勝利をマークしたスチュワート・ジュニアとなりそうだが、制球難は大きな課題であり、まだまだ計算できるような選手ではないのが現状である。近年ドラフト1位で獲得した風間球打、前田悠伍の2人をいかに早く戦力とできるかが今後重要になってくるだろう。

次のページ 常勝軍団を作るには「次」を育てられるかが大事