このオフのフリーエージェント(FA)やポスティングシステムによる移籍も全て正式決定したが、近年目立つのが“エース”と呼ばれる投手のメジャー移籍だ。3年連続投手四冠に輝いた山本由伸(オリックス→ドジャース)だけでなく今永昇太(DeNA→カブス)、上沢直之(日本ハム→レイズとマイナー契約)が退団し、前年も千賀滉大(ソフトバンク→メッツ)が海を渡っている。また他にもエースとして活躍してきた投手の力が落ちて、世代交代が必要となっている球団は少なくない。そんなエース事情が気になる球団の現状、明暗などを探ってみた。
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まず気になるのはやはり日本球界のエースとも言える山本が抜けたオリックスだ。もちろん山本の抜けた穴は小さくないが、チーム事情を考えるとそこまで悲観する必要はない印象を受ける。実績的に次のエース候補の筆頭格となるのは宮城大弥だ。プロ2年目から3年連続で二桁勝利をマークしており、昨年もワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場していたことから出遅れながらも、10勝4敗、防御率2.27と見事な成績を残した。日本シリーズ第7戦ではノイジーに痛恨のスリーランを浴びて負け投手となった悔しさをバネに、さらなる飛躍が期待される。
そして宮城以上に期待が大きいのが山下舜平大だ。昨年はシーズン終盤に故障で離脱して惜しくも二桁勝利は逃したが(9勝)、防御率は1.61と圧倒的な数字をマークしている。このオフの調整も順調と報道されており、1年間を通じてローテーションを守ることができれば、投手タイトル争いに加わってくる可能性は極めて高いだろう。
今永が抜けたDeNAで新エースとして期待されるのが昨年大ブレイクした東克樹だ。1年目に11勝をマークして新人王を獲得して以降の4年間は故障もあって合計6勝と停滞していたが、昨シーズンは開幕当初から安定感抜群のピッチングを披露。夏場以降も調子を落とすことなく勝ち星を積み重ね、最多勝、最高勝率のタイトルを獲得し、ベストナインにも選ばれた。被本塁打が多いの課題だが、抜群のコントロールであらゆる球種を見事に操ることができるのは大きな長所だ。ただチーム全体で見ると東に次ぐ先発投手は去就がいまだ決まらないバウアー以外はかなり不安な印象は否めない。2021年ドラフト1位の小園健太など、次世代のエース候補の成長が待たれるところだ。