防寒ブーツは冬に長女がバギーに乗る時に欠かせないアイテム。足先が冷えないようにひざ下すべてを覆ってくれて、装具の上から履くことができます(写真/江利川ちひろ提供)

「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害のある子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出合った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。

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 1月下旬になりました。毎日冬らしい寒さが続いていますね。身体が不自由な子どもたちや小さく生まれた赤ちゃんは、冬が苦手なことがとても多いです。風邪などの感染症が重症化しやすかったり、寒さで血行が悪くなり手足の硬さが増したりといった声をよく聞きます。

「風邪ひいて入院しちゃって」と言うと、「風邪で入院⁉」と思われる方も多いと思いますが、はじめはウイルス性の軽い風邪でも、気づいたら肺炎を起こしていたということもよくあるのです。

 今回は、「冬」について書いてみようと思います。

早産児は風邪をこじらせやすい

 我が家の子どもたちは3人とも早産だったために、本来なら妊娠中に胎盤を通してママから赤ちゃんに伝わるはずの感染症に対する免疫が不十分だったり、生まれてすぐに人工呼吸器をつけたために肺が弱かったりして、冬場はよく風邪をこじらせていました。

 長女は重症心身障害児で、長男は足が不自由。長女と双子の次女には障害はありませんが、小さい頃は体が弱くて、3人とも体調管理が大変でした。薬を処方されてもどんどんひどくなり入院になることが多く、小児病棟の4人部屋に3人同時に入院したこともありました。

 ある時、同じ日に3人とも入院になり面会時間が終わって帰宅すると、夫が「焼き肉に行こう」と誘ってくれたことがありました。普段小さな子どもが3人もいると、なかなか焼肉店に行くことはできずとても嬉しかったのですが、夫も私も子どもたちのようすが気になり、結局焼き肉を食べてもお酒を飲む気にもなれず、早々に帰宅しました。その前々日くらいから3人とも高熱を出していたために睡眠不足が続いていましたが、ゆっくり眠ろうと思っても子どもたちがいないことが寂しくて、疲れているはずなのになかなか眠れませんでした。しみじみと「私もいつの間にかちゃんと“親”になったんだなぁ」と自分の変化に気づいたことを覚えています。

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江利川ちひろ

江利川ちひろ

江利川ちひろ(えりかわ・ちひろ)/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ。

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