「とっておきの怖い話、ください」。そんなキャッチコピーが目を惹く「朝日ホラーコミック大賞」は、今年で3回目の開催となった。
【写真】世界を魅了するホラー漫画の鬼才・伊藤潤二がもっとも「怖い」と感じるもの
朝日新聞出版とpixivがタッグを組み、2023年8月3日~10月31日の期間に【マンガ部門】と【原作部門】の作品を募集。ともに実体験をもとにしたリアルホラー作品や、創作したとびきり怖い話が寄せられ、マンガ部門では176作品、原作部門では454作品もの応募があった。
第3回朝日ホラーコミック大賞の賞金も、マンガ大賞は100万円に、原作大賞は30万円にと額が上がった。
そして先日、選考委員4名による最終選考会が開かれ、2部門の大賞と優秀賞が決定した。
悩んだ作品は〝保留〟にして議論
前回に引き続き、第3回朝日ホラーコミック大賞の選考委員長を務めたのは漫画家の伊藤潤二さん、選考委員は漫画家の波津彬子さん、「ほんとうにあった怖い話」シリーズ(フジテレビ)監修である後藤博幸さん、東宝株式会社映像本部 開発チームリーダーの馮年さんが務めた。
最終選考会の前に、すべての応募作品を朝日新聞出版コミック編集部が分担して読み進めていく。部員たちは「〇」「△」「×」の三段階で応募作品を評価し、悩んだ作品は〝保留〟にして議論をしたという。コミック編集部の畑中雄介編集長は話す。
「〇が多い作品もあれば、読む部員によっては〇と×という正反対の評価を受けた作品もあります。20代だけでなく50代の編集者もコミック編集部には所属していますが、作品によって部員たちの評価が食い違うため、最終候補を選ぶまでにかなり時間を費やしましたし、とても悩みました」
第2回と第3回の応募作品で、違いを感じたことは?
「今回、原作部門のクオリティがとても上がっていることに驚いています。選考委員の皆さんの負担も考えて最終選考にはある程度、作品を絞って臨みたかったのですが、原作部門においては力作ぞろいで落としきれずに10作品になりました」