少年の美しいキャラクターに共感

後藤博幸:第1回と第2回は、圧倒的に「これだっ!」て、すぐに決められたのですが、今回は迷いましたし、何度も読んで考えました。「縊鬼」「形人間」「のんびり君」「山婿」の4作品を挙げたいです。

 迷いに迷ったので、自分の中で刺さった作品を優先して挙げましたが、特によかったのが「のんびり君」ですね。

「のんびり君」っていうタイトルと木の穴っていう、理由がわからないシュールさにハマりました。ただ、設定は面白いんだけどストーリーがないというところは、非常に残念です。

「縊鬼」は、少年の顔がすごく美しいなと思って読み進めました。最後、半分は鬼のようになるっていうところが、この少年の美しいキャラクターと相まって共感できました。

「形人間」は、これはオチが読めませんでした。度肝を抜かれたという意味では、評価は高いです。「山婿」もバカバカしい設定にハマってしまった。これはホラーでいいんだろうか。主人公の顔が同一人物ではないぐらいに変わってしまうのはどうなんだろうと色々思うところはあったのですが、このアイデアはすごくハマりました。

伊藤:大賞を選ぶ場合、やはり、絵で見てしまいますね。今回はとても難しいですね。「形人間」はそうですね……構成に関しては勉強すれば上達するんじゃないかなと思います。発想というかアイデアが面白かったので。

死にかけの蝉の怖さ……

【原作部門】 

 力作が多かった今回の原作部門への投稿作品は、コミック編集部でも絞り切れずに最終選考会には10本が残った。漫画にすることが前提になるので、選考にも力が入る。

伊藤:漫画にしやすいと思ったのは「魔障探偵明野リン~校舎のサエコさん~」。自分で美少女探偵と名乗っていて、キャラが立っています。絵にしたら面白そうだなっていうのがありました。 「あの呪いは未だ」も挙げたいですが、犬神の呪いを私は知らないのでその説明を入れる必要がありますね。

 また〝死にかけの蝉の怖さ〟ってのは、私も感じていまして(笑い)。「蝉」に関して言うと、私もすごく描きたかった題材です。途中で、ストーカーみたいな人が大量の蝉に襲われるシーンから急に非現実的になって、最初の〝あり得る〟という怖さから脱線してしまった感じが……。

波津:ストーカーが突然〝気持ち悪い〟で終わってしまった。蝉よりストーカーの方が気持ち悪いです。

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