だが、ラジオでは火災や津波被害など「大きな目線」での報道が流れるばかり。避難所や通行可能な道といった被災地域に密着した情報を得ることはできなかった。
「携帯の電波も満足に復旧していない地域が多く、集会所ではみんなが情報に飢えていました」
携帯の電波がようやく入り、ネットを開くことができたのは、被災5日目に穴水町に移動してからだった。
「それまでは顔なじみの地区の方と見聞きしたことを共有して、自分たちの置かれている状況を把握しました。今も情報が行き届いていない方もいらっしゃると思います」
東京に戻ってからは、被災地に残る家族のために情報を整理して、LINEで伝えている。
「電波状況や電池も限られるので、不用意にSNSで情報を調べないようにしてもらっています。被災していない地域にいる方は、臆測を含む内容に注意しながら、被災地域にいる家族や親戚に正しい情報を整理して伝えてあげてください。きっと助かるはずです」
(編集部・福井しほ)
※AERA 2024年1月22日号より抜粋