仕事でコミュニケーションやモチベーション研修のために介護施設の研修に行く機会も多い。
そして、たくさんの認知症の人や、ただ座っているだけ、寝ているだけの人を見てきた。
一方、わたしの周囲には、80歳になっても90歳になっても元気にイキイキと動いている人もたくさんいる。
亡くなるギリギリまで楽しく生きている人もたくさんいる。
「あっというまだったね」と、言われて亡くなる人たちも多い。
「何が違うのだろう?」
わたしなりに考えてみた。
究極の見本が、わたしの母の祖母と祖父。どちらも80歳後半まで生きていた。
ただ、祖父は70歳後半からボケだした。
わたしたち一家は、祖父の介護を何年もすることになった。
祖母は、祖父が亡くなってからも10年間楽しく生きた。
40日ほど寝込んだだけであの世に旅立った。
祖父は、元々軍人で、戦前は偉い立場にもなった。
でも、戦争に負けて、孫の世話だけが生き甲斐になっていた。
それ以外は、本を読んで過ごしていた。
孫には優しかったものの、頑固で、人の話を聞かず友達もいなかった。たまに話をしても、人の批判も多かった。
祖父には、コミュニティーがなかった。
一方、祖母は、戦争で負けたのを機会に働き出した。
「働くって、あんなに楽しいものだと思わなかった」
と、いつまでたっても、昔の職場の仲間と交流を持っていた。
それだけでなく、老人会にも入り、旅行の会にも入り、詩吟にお花になんでも楽しんでいた。誰とも楽しんで、ほとんど人の悪口を言うこともなかった。
それどころか、孫のわたしがお芝居や歌舞伎を誘うと、わたしの友人たちにくっついて遊びにきた。
口癖は、「楽しかった」。