W杯の日本代表の活躍で高まったバスケ熱は今も続いている。Bリーグの人気は着実に上がり、経営面でも軌道に乗り始めている。日本バスケのさらなる発展には何が必要なのか。AERA 2024年1月15日号より。
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昨年8~9月にかけて開催されたバスケットボール男子のワールドカップ(W杯)での興奮は記憶に新しい。日本代表はW杯の舞台で初めて欧州勢に勝利するなど3勝を挙げ、48年ぶりに自力での五輪出場を決めた。バスケ熱はにわかに高まり、その熱は今も続く。
富樫勇樹(千葉ジェッツ)や河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)ら、国内でプレーするスター選手の活躍もあり、男子プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」は今季、さらなる躍進を遂げている。リーグ開幕前の時点で観戦チケット購入に必要な会員登録者数は昨季比で317%増加し、トップカテゴリー「B1」の平均入場者数は開幕から1カ月後の11月時点で4398人と、昨季平均から約1千人増加した。
ただ、まだ物足りない──そう考えるバスケファンは多いはずだ。日本代表の活躍で選手たちのメディア露出が増えたとはいえ、Bリーグ所属の主な選手の名前と顔が一致する人が全国にどれだけいるだろうか。
日本バスケのさらなる発展には、Bリーグの充実が不可欠だ。Bリーグ誕生から今季は8年目。その間にはコロナ禍もあったが、昨季の平均入場者数は過去最高を記録するなど、プロスポーツリーグとしての存在感は着実に高まっている。しかし、まだ野球やサッカーといったメジャースポーツと肩を並べるには至っていない。
そこでリーグが掲げたのが、将来構想「B.革新」。競技成績によるカテゴリー間での昇降格の廃止、クラブ間の戦力均衡のために選手の総年俸に上限を設けるサラリーキャップ制導入など、大胆な構造改革だ。従来のB1、B2、B3というカテゴリー分けをそれぞれ「Bリーグプレミア」「Bリーグワン」「Bリーグネクスト」に衣替えし、各カテゴリーに入会基準を設ける。「プレミア」ならば、シーズン平均入場者数4千人、クラブ売上高12億円、そして5千人以上のキャパシティーを持つアリーナを確保できるか。これらを満たせるかどうかが入会の基準となる。この3条件のうち、3季連続でどれか一つでも満たせない場合には降格となるが、単年度の競技成績で降格することはない。