夏といえば海水浴! ということで海へ泳ぎに行く人も増えるこの季節。
とはいえ、普通の海水浴といったら浅瀬でのんびりという人も多いですよね。
近年広まりを見せ始めている「オープンウォータースイム(以下、OWS)」というスポーツは、なんと10㎞ほどの距離を泳ぐというのだからびっくり!
まだ日本では、なじみの薄いスポーツですが、2008年の北京五輪から正式種目に採用されている、れっきとしたオリンピック種目なのです。
大自然の中で行われる競技、OWSの醍醐味に迫ります。

競泳者との体の接触や、多少の波にも負けないタフさが必要のOWS
競泳者との体の接触や、多少の波にも負けないタフさが必要のOWS
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「オープンウォータースイム = OWS」とは?

OWSとは、海、川、湖など自然の中で行われる長距離の水泳競技です。
プールで行われる競泳と違い、天候への対応、海洋生物との接触など想定外の事態にも対応できる力を身につけておかなければなりません。
もともとオセアニア、アメリカ、ヨーロッパなどでは、人気が高いスポーツ。
1980年代に国際水泳連盟が競技規則を作成、2008年に五輪正式種目となった新しいスポーツです。
日本でも1995年、初の大会が熱海で開催され少しずつ大会の数も増えてきました。

OWSの魅力 その1 ~水中での激しい駆け引き~

OWSの特徴といえば、自然の中で行われるということ。
つまりプールの競泳と違い、コースロープは存在しません。
トップレベルの大会になると10km以上のレースも多数。
10kmをトップクラスの選手が泳ぐと約2時間かかります。
まさに「海のマラソン」といったところでしょう。
2時間泳ぎ続けるのは泳ぎが得意な人でも、相当大変なこと。
競技となると、さらにその厳しさは増します。
マラソンと同じように、まずスタートポジションの争いから熾烈さを見せます。
コース途中でも、相手を風よけに使ったり、追い越しをしたりで体がぶつかり合うこともしばしば。
また、ラストスパートの肉弾戦も激しいものがあります。
競技者にとっては過酷な環境であるのは間違いないのですが、観る立場からすると、その様子はとても白熱したもの。競技としての面白さも注目の一つです。

スタートのポジション争いは熾烈
スタートのポジション争いは熾烈

OWSの魅力 その2 ~エコスポーツ~

過酷な競技であるという側面を持つ一方で、「エコ」というキーワードも兼ね備えているのがOWSの魅力。
今では、様々な国で開催されているOWSですが、なかには海の素晴らしさを存分に感じることができるレースもあるのです。
日本人にも人気なのが「パラオ・オープンウォータースイム」という大会。
こちらはゴールまでの制限時間がなく、250mから5000mという幅のある距離設定なのも、参加者にとってはうれしいポイント。そして、何といっても最大の魅力は美しい海!
自然の豊かさをそのままにスポーツを楽しめるという「スポーツと自然の共存」といった点でもOWSは注目されているスポーツなのです。

日本での広まりは?

国際的にもまだ新しいスポーツであるOWSですが、日本においてもOWSの普及はこれからといったところ。
そんな中、OWSの普及にいち早く取り組んだのが、現在、日本水泳連盟会長でもある鈴木大地氏。
鈴木大地氏といえば、1988年ソウル五輪で得意のバサロキックを生かし100m背泳ぎで金メダルを獲得した日本水泳界のスター。
OWSを開催し、海を泳ぐことで、どれだけ海が汚染されているかがよくわかると鈴木氏は言います。
水泳選手として、水と共に人生を過ごしてきた人だからこそ、水や自然に感謝しなければならないという気持ちが強いのでしょう。
スポーツを行うことで環境を破壊しない、スポーツと自然が共存するOWS。
これからのスポーツ界に新たな一石を投じる競技となっていくことでしょう。

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