CMの制作発表で一堂に会した、ザ・ドリフターズのメンバー。左から高木ブー、仲本工事、加藤茶、志村けん
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 11日放送の「ドリフに大挑戦!ドリフ結成60周年爆笑大新年会SP」(フジテレビ・午後7時)は、1日午後5時から放送予定だったが、能登半島地震のために放送延期となっていた。今回は、松本幸四郎、香取慎吾、佐々木希など総勢31名のドリフ大好き芸能人が、ドリフの名作コントに挑戦する。新型コロナで亡くなったドリフのメンバー、志村けんさんの偉大さを改めて振り返る(「AERA dot.」2022年1月1日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)。

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  2020年3月に志村けんさんが亡くなってから、テレビでは彼やザ・ドリフターズに関する特番がたびたび放送されてきた。そのほとんどは、過去に放送された彼らのコントの映像を中心にして構成されていた。

 そんな中で、一風変わった切り口のドリフ番組がオンエアされて話題を呼んでいた。2021年12月27日放送の『志村けんとドリフの大爆笑物語』(フジテレビ)である。この番組では志村けんという芸人の半生がドラマという形で描かれている。俳優がドリフのメンバーを演じて、彼らが長年にわたって日本中を熱狂させたコントを作ってきた舞台裏が明かされている。

 ただ、この番組が変わっているのは、ドラマの中に独立した形でコントのシーンが数多く用意されているところだ。そこでは、ヒゲダンス、東村山音頭、変なおじさんなど、志村やドリフの名作コントが忠実に再現されている。

 演じているのはドリフ役の俳優だが、それ以外の衣装、セット、カメラアングルなどはすべて本物そっくりに精巧に作り込まれている。さらに、テレビコントには付き物の「笑い声の効果音」まで加えられている。

 漫画作品などが実写化されるときに、原作のファンから「思っていたのと違う」などと批判を受けることがある。このような批判が起きる背景にあるのは、そもそも漫画という「紙媒体」とドラマ・映画という「映像媒体」が全く性質の異なるものだからだ。

 その点、今回の『志村けんとドリフの大爆笑物語』のコントパートが斬新だったのは、テレビ番組の中で「テレビコント」の再現をしていたということだ。媒体そのものが同じなのだから、作り手の努力次第で限りなく本物に寄せることができる。

 脚本・演出を務めた福田雄一はコメディ系の作品を数多く手がけており、『となりのシムラ』(NHK)では志村本人と仕事をした経験もある。そんな彼が、思い入れたっぷりにドリフのコントの世界を精巧に再現していた。

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