「くさい」「粉っぽい」は昔の話。プロテインフィーバー中の今、選ぶべきはどれか。専門家、シェア首位のメーカーに取材。編集部も実際にプロテインを買って試飲した。AERA 2024年1月15日号より。
【写真】編集部の選んだおいしくて値段お手頃なプロテインベスト3!
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厚生労働省が示すたんぱく質の目標量は、18~49歳の活動量の低い男性で1日75~115グラム、女性は、同57~88グラム。たんぱく質が豊富な鶏むね肉で250~500グラム分(1~2枚)だ。卵(1個あたりの可食部たんぱく質6グラム)なら1日10~19個。つらい。
たんぱく質は1食でまとめるのではなく、3食こまめにとりたい。立命館大学スポーツ健康科学部教授の藤田聡さんは「アミノ酸の血中濃度を平均的に上げておくためにも、朝・昼・晩に30~40グラムずつ分けてとるのが理想」と説く。
とはいえ、3食とも高たんぱく質メニューにするのは面倒だ。ここはプロテインの助けを借りよう。藤田さんも補助的にプロテインを飲むことに賛成している。おやつ代わりにバータイプをかじるのもいい。
プロテインにはダイエットのサポート効果も期待できる。小腹がすいたときに飲むと食欲が抑えられるのは、なぜ?
「たんぱく質に含まれるアミノ酸の一つ『ロイシン』が脳の視床下部にある満腹中枢を刺激し、食欲を抑えます」(藤田さん)
食事の前にプロテインを飲むと、どか食いが防げる。自然と食べる量が減れば、無理なく適正体重に近づきそうだ。
「もはやシェイク」
ところで「プロテイン=まずい」という印象がある人も多いのでは。数十年前のプロテインは、確かにおいしいとはいえなかった。特有のにおいと、粉っぽさがネックだった。
それはもう過去の話。改良が重ねられ、プロテインは進化した。ココア味、バニラ味、いちご味、バナナ味、レモン味、ミルクティー味など多彩な味が揃う。もちろんプレーンもある。水に溶かすだけで十分においしく、牛乳や豆乳と混ぜれば“もはやシェイク”。いや本当に。
粉末・顆粒プロテインのシェア32%で国内トップなのが明治の「ザバス」(インテージSRI+〈全国小売店パネル調査〉プロテイン市場 2022年1~12月、シェア数値は明治調べ)。ザバスは飲料タイプで8割、22年に参入したバータイプで1割のシェアだ。同社スポーツマーケティング部の平松貴志さんに最新動向を聞いた。
「当社がプロテインの販売を開始したのは1980年です。今は競合品が急激に増加しています。飲料タイプやバータイプは製法や配合に関するハードルが高いため、食品メーカーを中心に発売されています」