「五輪のメダル、2年くらい背負っちゃいましたね。サーフィンの歴史が浅いなかで、メダルの重圧をどう克服するか分からなくて。今は、『日本で1位じゃないといけない』という考えから、チャレンジャー的な気持ちに戻れています。こういう経験をできたのも五輪メダルのおかげですし、自分を強くさせてくれたと思います」
まずは、2月のプエルトリコでの五輪選考。その先に、パリ五輪を見据える。
「毎回、違うタイプの波になります。サーフィンは試合ごとに準備し直すのは当たり前で、その対応力を求められるスポーツ。東京五輪よりも強くなった精神力で、いかに冷静に判断していけるかがポイントになります」
3年前よりも心が成長した自分を実感する。
「サーフィンは、悔しい思いも経験させてくれたけれど、自分を強くしてくれました。目指すのは、(『鬼滅の刃』の)竈門(かまど)炭治郎です。人に優しく自分に厳しく。それが人間の最上級。サーフィンを通してそんな人間になりたいと思ってます」
パリ五輪で、その人間力が垣間見えるような演技を見せる。それが、今の夢だ。(構成/ライター・野口美恵)
※AERA 2024年1月15日号より抜粋