(写真はイメージ/GettyImages)

 同居している母によると、最初は、物忘れから始まったといいます。昔のことは鮮明に覚えているのですが、直近のことは覚えていないのです。

物盗られ妄想も

 例えば、昼食を食べたこと自体を忘れ、昼食を食べていないと言って、再び食事をとってしまいます。記憶することができないため、直前に話していたことを、延々と繰り返すなんてこともあります。

 そして、みるみるうちに、認知症の症状は進んでいき、物盗られ妄想が始まったそうです。物盗られ妄想とは、認知症で起きやすい被害妄想の一つであり、財布や現金、貯金通帳など、大切な物を盗られたと訴える症状のことです。

 私の祖母は、「通帳がなくなった。財布がない。(私の)母や父が盗んだに違いない。」と思い込んで、毎日のように訴えては、家の中をひっくり返すかのように必死になって探すことを繰り返すようになりました。何度も犯人扱いされた母は、とても辛かったと言います。

 そんな物盗られ妄想が、ようやく落ち着いた頃だったと思います。夜に突然、家を飛び出してしまい近所を歩き回ることや、「長男が帰ってくる……」と言って、夜な夜な玄関の扉を開けて待つようになったようです。

 幸い、家を飛び出すことは数回だけで落ち着いたのですが、頻繁ではないものの、玄関を開けて誰かと話しているようなことは続いていると言います。

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施設に入ることを固辞