今は自分の日常を大事にしている。

「大谷(翔平)くんが今日もホームランを打ってくれたら、幸せ。詰め将棋が解けたら、それも幸せ。一生の思い出になるようにパーティーを開くとか、そういう特別なイベントはいらない。

酒を飲んだりおいしいものを食べたりすることが楽しみだったけど、がんで酒がダメになって、食べられる量が少なくなって。なんだか好きなことを順番につぶされているような感じがしたな。

禁酒は、案外すんなりできましたよ」

 2時間以上に及ぶ取材中、山崎さんは何度かせき込み、会話を約1分ずつ中断した。

 予定質問のすべては聞き終えていなかったが、3回目のせきで「もう、(取材は)終わりにしましょう」とこちらから言ってしまった。

 それでも、水を少しずつ飲みながら最後まで答えた。強烈な精神力。

 帰り際、「(最後まで答えたのは)心配になったから」と言われた。

「(取材を途中でやめたら)記事は大丈夫なのか、中身は足りるのかと思って。『山崎はこんな学生時代とサラリーマン時代を過ごし、今ではこんなこと言ってます』っていう平凡でつまらない記事になるんじゃないかと」

 やさしい人なのか、嫌みな人なのか。前者だ。ちょっとだけ意地悪なことを言って相手を刺激するところまでが、山崎さん流の「戦略」かもしれない。

〈2024年1月5日追記〉

 忖度なしに経済、資産運用に関し「本当のこと」を言う評論家だった。個人から絶大な信頼を得ていた。

 山崎さんがトウシル(楽天証券の投資情報メディア)をはじめ、多くの媒体に遺した原稿は普遍的な内容で、いつまでも色褪せない。新NISAが始まったばかりの今こそ、読み返してみてはいかがだろうか。

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編集/綾小路麗香、伊藤忍

※AERA増刊『AERA Money 2023秋冬号』から全文掲載

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